じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・東西通りのハナミズキの紅葉。比較的地味だが、赤い実が特徴。

2017年10月14日(土)


【思ったこと】
171014(土)日本行動分析学会第35回年次大会(6)超高齢社会における行動分析学(4)巨視的視点(1)

 私の話題提供の3番目のテーマは

●複数の行動のまとまりから構成される「活動」概念に基づいて、より巨視的な観点から高齢者のライフスタイルの構築を考える

であった。4つのテーマの中でも私が一番強調したい部分であり、25分のうち10分前後をこの話題に費やした。

 結論から先に言えば、QOLやライフスタイルの問題を考えるにあたっては、三項随伴性による強化、弱化だけでは不十分であり、より長期的、包括的な視点から、個人個人の行動をとらえる必要があるということである。

 なお、念のためお断りしておくが、三項随伴性による直接効果的な随伴性が無意味だとか、欠陥があると主張しているわけでは決してない。何年も先に究極的な結果が想定されているような行動であっても、それが日々継続されるためには何らかの直接効果的随伴性が関与している。例えば、2年後の合格を目ざして勉強している受験生の場合、日々の勉強行動は、周囲の激励、成績向上、「勉強をサボったら合格できない」という好子消失阻止の随伴性によるルール支配行動、志望校についての情報がもたらす確立操作(動機づけ操作)などが複合的に勉強行動を支えていると考えられる。巨視的視点は、種々の行動の原因を説明するというより、むしろ、種々の行動がまとまりを持って継続している状態を簡潔に記述し、ライフスタイルの設計や調整に役立てるために有用ではないかと考えている。

 行動の巨視的な視点はもともと、Baumらによって提唱されている。今回、紹介させていただいた関連論文は以下の通り。
  • Baum, W. M. (2002). From molecular to molar: A paradigm shift in behavior analysis. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 78, 95-116.
  • 長谷川芳典(2011).徹底的行動主義の再構成―行動随伴性概念の拡張とその限界を探る―岡山大学文学部紀要, 55, 1-15.
  • Baum, W. M. (2013). What counts as behavior? The molar multiscale view. The Behavior Analyst, 36, 283-293.
  • Baum, W. M. (2017). Understanding behaviorism: Behavior, culture, and evolution (Third Edition). Malden, MA:Blackwell Publishing.U.K.【2005年刊行の第2版については以下の翻訳書あり。ボーム(著)森山哲美(訳)(2016). 行動主義を理解する―行動・文化・進化―. 二瓶社.】
  • Rachlin, H. (2013). About teleological behaviorism. The Behavior Analyst, 36, 209-222.


次回に続く。