じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 文学部東側の芝地に生えるアレチヌスビトハギの花。昨年と同じ株であり、近縁種もしくは雑種の可能性もある。

2017年9月21日(木)


【思ったこと】
170921(木)ボーム『行動主義を理解する』(73)言語行動と言葉(10)

 9月20日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 翻訳書196頁からは「言葉の意味」についての見解が記されている。本書の立場からは、
意味(meaning) という用語は、厳密に言えば、行動分析学にふさわしくない用語である。...行動主義者は、 意味について尋ねる代わりに、行為や発話の使用や機能について語る。大ざっぱに言えば、それは、意味(meaning)についての「意味」である。
確かに、日常会話の中では「意味」の扱いは曖昧である。知らない言葉の意味を尋ねられた時は、ふつうは、相手が知っている別の言葉に置き換えて説明することが多い。抽象的な語や、(日本語の)助詞や助動詞の意味を尋ねられた時は、英語に置き換えるか、もしくは、いくつかの用例を挙げて説明する。しかし、類義語への置き換えや用例というのは、言葉の意味とは言えない。念のため国語辞典を調べてみると、
  • 大辞泉:言葉が示す内容。また、言葉がある物事を示すこと。
  • 新明解:(一)〔言語行為を成り立たせる上で不可欠なものとしての〕音声と結び付けて、話し手が聞き手に伝えようとする内容。(二)その時その文脈において、その言葉が具体的に指し示す内容。
などと記されているが、イマイチ分かりにくいところがある。「ある物事を示す」とか「伝えようとする内容」というのは概ね弁別刺激としての機能であり、であるなら、「意味とは、言葉の弁別刺激としての機能」と言い換えてもよさそうな気がする。

 本書のほうでは、まず「結果と文脈」という見出しで「意味」が考察されている。ここでは、
言語行動の「意味」とは、言語行動の使用、すなわち、その文脈の中での言語行動の結果である。
とされている。人の名前の「意味」とは、その名前が出現するときの文脈であり、かつ出現した後の結果である、といった例が示されていた。

 次回に続く。