じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 7月27日の20時前後、岡山市の北東部で謎の花火大会があった。この日は平日の木曜日であり、花火大会開催としては不自然。こちらこちらでこの日の開催予定は見当たらなかった。
 花火の見えていたあたりに外出していた妻から、打ち上げ場所は旭川荘の近くのようだという情報があったので検索したところ、第36回「夏まつり旭川荘」 7/28開催というイベントであることが分かった。臨時バスも運行しているようなので、来年はぜひ行ってみたい。


2017年7月27日(木)


【思ったこと】
170727(木)ボーム『行動主義を理解する』(59)刺激性制御と知識(9)

 昨日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 「手続的知識(方法について知ること)」に続いて、本書150頁では「宣言的知識(対象について知ること)」について詳しく解説されている。本書によれば、宣言的知識が手続的知識と異なる点は、唯一、刺激性制御が付加されているだけである。

 いずれにせよ「知っている」という表明はタクトであり、その真偽は、話し手と聞き手の弁別刺激が一致することで確認される。また当然のことながら、そうした言語行動は強化されればこそ発せられる。これらは「弁別と強化」の原理で説明を尽くすことができるが、日常場面ではしばしば心理主義の言葉で語られる。

 本書153頁からは、「偽のタクト」に関連して、「嘘とは何か」という興味深い話題が取り上げられている。嘘がどのように発せられるのかというのは、言語行動のしくみを解明する上でも重要なテーマであり、佐藤方哉先生も

佐藤方哉(2006).嘘とアイロニーの行動分析学的一考察.帝京大学心理学紀要,10,1-9.

という論文に示されるように、「嘘」に関心をもっておられた。

 本書のほうでは、まず、どのような条件であれば、人は嘘をついていると言えるのか分析が行われている。「嘘」と「間違い」はいずれも聞き手に誤情報を与えるが、この2つは明らかに違っている。単なる「間違い」を伝える行動は、何ら強化されない。それどころか、間違った情報は聞き手に損失を与える可能性があり、それが重なれば話し手の信頼性を低下させることになる。話し手はもはや相手にされなくなる。いっぽう、「嘘」をつく行動は、嘘をつかない場合に比べて、何らかの形で強化される。人を騙して金を巻き上げる行動は、少なくとも短期的には、お金を儲けることによって強化される。(中長期的には、その嘘がバレて処罰されるかもしれない。) また、肉親が余命いくばくもないと診断された時に、あえてその情報を隠して、「もうすぐ治るよ」と励ますこともある。こうした嘘は、話し手と聞き手の両方に希望を持たせ、終末期を明るい雰囲気で過ごせるという結果によって強化されるだろう。(もちろん、嘘をつかず、患者に病状を正確に伝えたほうが強化される場合もある。)

 次回に続く。