じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 4学期制の第2学期末(旧カリキュラムでは前期末)をひかえて、図書館前の駐輪台数がじわりじわりと増えてきた。7月20日の写真を併せて参照。


2017年7月24日(月)


【思ったこと】
170724(月)ボーム『行動主義を理解する』(56)刺激性制御と知識(6)

 昨日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 昨日も引用した、
系列が重要であろうとなかろうと、全体の活動は、究極的な強化子、つまり、ほとんどあるいはすべての部分が完了した後で生起する強化子によって維持される。
という部分だが、「究極的な強化子(好子)」は、「裏付好子」と呼ばれることがある。杉山ほか(1998)では、「裏付好子」は
習得性好子を好子として機能させているもともとの好子
として定義されている。もっとも、こちらの3.2.に記したように、習得性好子には、純粋に交換価値だけに支えられているような道具型のタイプと、価値創出に相当するようなタイプの2種類がある。本書144頁のの例で言えば、「餌が提示されなくなると【レバー押しが強化される状態にある時に点灯されるライトは、強化子としての機能も弁別刺激としての機能も失う。」とか、「アメリカンコンチネンタルが通貨としての価値を失うと、強化子としての機能がなくなる。それだけでなく、それを手に持って買い物に出かけるといったオペラント行動の文脈(弁別刺激)としての機能もなくなる。」というのは、交換価値のみに支えられた習得性好子ということになる。もっとも、紙幣収集マニアにとっては、アメリカンコンチネンタルは依然として習得性好子であり続ける。もう1つの「雨天で寒ければ、私は海岸に出かけるために車にガソリンを入れない。ガソリンが満タンであるということが強化子ならびに弁別刺激として機能するのは、晴天のときだけである。」という例については、そもそも「ガソリンが満タンになる」出来事自体が本当に強化刺激として機能しているのかどうか再考する必要がある。前回も述べたが、もし、満タンの目盛表示自体が強化刺激(好子)であるという人が居たら、その人は、特に用事がなくてもタンクを空にするために車を動かし、満タン表示の回数が増えるように行動するはずである。

 本書144頁からは弁別の話題がより詳細に取り上げられている。行動分析学の入門書でしばしば強調されているように、弁別を定義するには、Sのもとで行動が強化され、SΔのもとでは強化されないという2つの刺激条件を経験する必要がある。この点は本書の145頁でも明記されている。興味深い例として、
無一文の状態から金を手に入れたことで、行動が労働からショッピングモールへの買い物へと変わる場合、その行動の変化は連鎖であり、弁別でもある。昼が夜になって行動が変わる場合、連鎖ではなくて弁別である。
が挙げられていた。このうち、「ショッピングモールでの買い物」においてはサイフの中の有り金残高、あるいはクレジットカードの限度額情報が弁別刺激となっている。但し、買物行動というのは、商品と引き換えにお金を失うという結果をもたらすので、単純な好子出現の随伴性による強化とはやや異なっている。昼と夜の交代は連鎖ではなくて弁別であるというが、高緯度地域の白夜や極夜のもとでは、あるいは、トンネルの中で仕事をしている人たちにとっては、屋外の明るさは弁別刺激になりにくいので時計やテレビの時報など別の刺激が弁別刺激として利用されることになるだろう。

 次回に続く。