じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・津島東キャンパスにあるニレの木。秋にはこちらのように紅葉する。高校三年生の歌詞に「赤い夕陽が 校舎をそめて ニレの木陰 に はずむ声」とあるが、ここにあるニレ(たぶんアキニレ)は木陰をつくるほどには葉をつけない。楽天版(2013年1月14日付け)に関連記事あり。

2017年5月21日(日)



【思ったこと】
170521(日)“見ないで楽しむ”観光対決

 日曜日の夜、

NHK「バリバラ」で、

体感!“見ないで楽しむ”観光対決

という話題を取り上げていた。全盲の女性のために、ユニークな企画で人気を集める大手旅行会社のプランナーと、障害者の旅行支援をしているNPOが企画したツアーを比較するという企画であった。番組構成上は「観光対決」となっていたが、NPOの企画のほうに軍配が上がるのはミエミエであった。といっても、普段気づきにくい点がどういうところにあるのか大いに参考になった。

 まず、旅行好きの私自身もそうだが、旅行の目玉というと絶景であり、通常これは目で見て楽しむものである。例えば、番組で、鳴門の渦の道を取り上げていた。晴眼者であればガラス越しに巨大な渦を眺めることで感動できるが、全盲者には音や海の香りはなかなか伝わってこない。むしろ、そのあとの、砂浜を歩いて海岸に流れ着いたワカメに手を触れる体験のほうが感動をもたらしていた。

 その点、障害者の旅行支援をしているNPOの企画は、行き届いた配慮がなされていた。まず基本的なポリシーとして、つきっきりではなく、可能な部分は一人で旅してもらうという点。また、松江城の案内でも、石垣に手を触れたり、石段を登ることでバリアーだらけのお城を実感。さらには天守に登ったところで、地上から声で呼びかけ、高い所に登ったことをを実感してもらうといった具合。その後訪れたフォーゲルパークでも、ベゴニアやフクロウに手を触れてもらうことで、嗅覚や触覚による感動を体験した。

 晴眼者どうしの旅行では、視覚的体験が殆どを占めており、「ほら、見てごらん」という会話が弾む。全盲者に対しても「見てください」と言ったり、大きさを比較する時に「○○より大きい」と言ったり、というように、ついつい視覚的表現ばかりを使ってしまう。しかしその分、聴覚、味覚、嗅覚、触覚には鈍感になっている。全盲者の感動体験は晴眼者でも共有できるはずなのだが、逆に、視覚がそれを邪魔にして、せっかくの感動の機会を失っているかもしれない。目を閉じて、視覚以外の感覚による体験の機会を増やすことも豊かな人生につながるように思われる。