じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



05月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 時計台前のバラ。何年か前に某職員から寄贈された高級品種であるが、剪定する人がいないので枝が伸びすぎて道路側にはみ出すこともある。今季は、開花前にロープで固定されていた。
 今年度中にこの場所には新しい建物が建てられるはずなので、この場所の薔薇の花もこれで見納めとなりそう。

2017年5月10日(水)



【思ったこと】
170510(水)ボーム『行動主義を理解する』(2)

 5月1日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 本書(第二版の翻訳)の前半では、行動主義の定義、実在論と実用主義、公的事象と私的事象などについて詳細に解説されている。このうち、実用主義については、同じ現象を対象とする場合でも、どのようなゴールを設定するのかによって複数の理論が生まれる可能性がある。但し、それらは対立するものではなく、簡潔性、有用性、適用範囲などにより取捨選択されていく。いっぽう、私的出来事の扱いについては、
  • Baum, W. M. (2011a). What is radical behaviorism? A review of Jay Moore’s Conceptual Foundations of Radical Behaviorism. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 95, 119-126.
  • Moore, J. (2011). A review of Baum's review of conceptual foundations of radical behaviorism. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 95, 127-140.
  • Baum, W.M. (2011b). Evasion, private events, and pragumatism: A reply to Moore's response to my review of conceptual foudations of radical behaviorism. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 95, 141-144.
を合わせて参照していくことにしたい。

 本書のなかごろでは、言語行動やルール支配行動、思考についての解説がある。このあたりは、関係フレーム理論の立場と対比しながら考察する必要がある。

 本書の終わりの方では社会問題について論じられている。最終章では、スキナーの小説『ウォールデン・ツー』にまで言及されている。行動分析学由来のセラピーの中には、個人の生き方に焦点をあてるものが少なくないが、本書では社会全体に目を向けている点がまことに興味深い。

 次回に続く。