じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 4月2日、妻の実家のある北九州は不安定な天気となり、晴れ間も見えたかと思えば雷鳴が響き渡り、大粒の雹が降ったりした。

2017年4月2日(日)



【思ったこと】170402(日)関係フレーム理論をめぐる議論(1)

 毎年、4月初めは、新入生オリエンテーションやら、4学期制導入に伴う早期授業開始など慌ただしい時期にあたっていたが、2017年度は曜日の巡り合わせの関係で、4月7日(金)がオリエンテーション&ガイダンス、翌週から授業開始、という最もゆったりした日程となった。そのおかげで、年休を長めにとって妻の実家に籠もり、4月7日締め切りの論文執筆に集中できるようになった。

 そんな中で、関係フレーム理論に関する議論をまとめる必要が出てきた。この日記ではこれまで、関係フレーム理論について肯定的に取り上げてきたが、行動分析学の中では依然として1つのセクトを構成しているにすぎず、頭ごなしに否定している人もいれば、最初から関わりを持たずに自身の研究領域内に専念している人もおられるように見受けられる。関係フレーム理論は主として人間の言語行動やそれに依拠したルール支配行動について大きな変革を目ざしているため、人間以外の動物を対象として実験的行動分析を行ってきた人たちにとっては、あまり関心を持たれないようにも思われる。もちろん、一時期、人間以外の動物を対象として、刺激等価性クラスに関する実験研究が盛んに行われたことは承知している。じっさい、2000年以降に出版された行動分析学関連の入門書でも、刺激等価性クラスの話題がほぼ確実に紹介されるようになったが、関係フレーム理論の紹介やHayesのお名前は全く登場しない本もある。Moore(2011)[]によれば、一部の行動分析学者たちは、関係フレーム理論を「メンタリズムへの後退(...consider derived relational responding a retreat into mentalism)」と考えているようである。
]Moore, J. (2011). A review of Baum's review of conceptual foundations of radical behaviorism. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 95, 127-140.

 関係フレーム理論に関する議論をまとめた総説論文としては、

Gross, A.C.,& Fox, E.J.(2009). Relational frame theory: an overview of the controversy. The Analysis of Verbal Behavior, 25, 87-98.

がある。ただし、関係フレーム理論を支持する立場の人たちによる見解なので必ずしも公平とは言えないかもしれない。興味深いのは、ご所属がWestern Michigan Universityとなっていること。日本でもよく知られているマロット先生と同じ大学であり、この論文の中でもマロット先生の見解が紹介されていた。

次回に続く。