じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 Gポイントの「脳年齢チェック」で、2月20日に「27歳」を達成して以来、概ね「30歳代」で低迷していたが、3月19日、これまでの記録を更新し、「26歳」まで「若返る」ことができた。

2017年3月20日(月)



【思ったこと】170320(月)徹底的行動主義の呼称の起源(1)

※3月20日はスキナーの誕生日にあたる。(1904年3月20日)

 オドノヒュー&ファーガソンの『スキナーの心理学』の連載を続けてきたが、第4章で徹底的行動主義が取り上げられていたことの関連で、別の文献にも目を通しておくことにしたい。まずは、「徹底的」という修飾語の起源である。3月18日にもふれたように、これについては

Schneider, S. M., & Morris, E. K. (1987). A History of the Term Radical Behaviorism: From Watson to Skinner. The Behavior Analyst, 10, 27-39.

で詳しく紹介されている。論文執筆当時存命であったスキナー自身への問い合わせも行われており、信頼できる内容となっている。この論文はネット上で無料で閲覧できる。

 いっぱんには、「radical behaviorism」は、ワトソンの「methodological behaviorism」と区別するためにスキナー自身が使い始めたという見方が定着しているが、Schneider & Morris (1987)によれば、「radical behaviorism」という表現自体は、もっと以前の1920年代前半から、ワトソンの行動主義を特徴づける修飾語として使われていたという。

 「radical」には、「thoroughgoing」(徹底した)、「extreme」(極端な、急進的な)、「iconoclastic」(因習打破主義)といった意味があり、語源的には「根本的な」という意味が含まれている。日本語の「徹底的行動主義」の「徹底的」は、佐藤方哉先生が、スキナーの行動主義の特徴を汲んで名づけたものであり、国内ではかなり定着している。行動分析学では、未だに呼称が統一されていない用語が多数あるが(「好子」と「正の強化子」、「嫌子」と「負の強化子」と「弱化子」、「習得性」と「条件性」と「二次」など)、この「徹底的行動主義」という呼称はその中でも、うまく定着した呼称であると言ってよいだろう。もっとも、上記のワトソンの「radical behaviorism」に関しては、「客観的に観察可能な行動を対象とすべき」として意識を排除したことや、「Give me a dozen healthy infants, well-formed, and my own specified world to bring them up in and I'll guarantee to take any one at random and train him to become any type of specialist I might select ― doctor, lawyer, artist, merchant-chief and, yes, even beggar-man and thief, regardless of his talents, penchants, tendencies, abilities, vocations, and race of his ancestors.(健康な1ダースの乳児と、育てる事のできる適切な環境さえととのえば、才能、好み、適正、先祖、民族など遺伝的といわれるものとは関係なしに、医者、芸術家から、どろぼう、乞食まで様々な人間に育て上げることができる)」というような学習優位の主張があまりにも極端であり、意識を前提とした既存の心理学を打破するという動きでもあったことから、「extreme」(極端な、急進的な)あるいは「iconoclastic」(因習打破主義)という意味で「radical」という呼称が使われていたものと思われる。

 次回に続く。