じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 文学部南側の樹木剪定。先週、出入りの植木屋さんにより大規模剪定が行われた。建物すぐ近くにあった芙蓉は根元から伐採。

2017年3月5日(日)



【思ったこと】170305(日)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(17)第3章スキナーの背景(11)ダーウィン(2)

 3月4日の続き。

 スキナーは、晩年、進化についていくつか論文を執筆している。
  • Skinner,B.F.(1984). The evolution of behavior. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 41, 217-221.
  • Skinner,B.F.(1984). Selection by consequences. Behavioral and Brain Sciences, 7, 477-510.


 このうち1.は、こちらから無料で閲覧できる。(但し、ダーウィンの著作は引用されていない。). いっぽう1.は、本書巻末のスキナー業績一覧では

Canonical papers of B. F. Skinner. Behavioral and Brain Sciences, 7, 473-724. (Eds. A. C.Catania & S. Hamad, among many other commentators; reprinted in 1988 as The selection of consequences: The operant behaviorism of B. F. Skinner: Comments and consequences [New York: Cambridge University Press]).

となっている。もう1つ、

Skinner, B.F. (1981).Selection by consequences. Science. 1981 Jul 31;213(4507):501-504.

という同じタイトルの別論文があり、引用や参照には注意が必要。本書では、ダーウィンに関連して上記2.の論文が、かなり長く引用されていた。その一部を孫引き、箇条書きすると以下のようになる。
  • Human behavior is the joint product of (i) contingencies of survival responsible for natural section and (ii) contingencies of reinforcement responsible for the repertoires of individuals, including (iii) the special contingencies maintained by an evolved social environment.
    (i)自然界に適応して生き延びていくための随伴性、(ii)個体の行動レパートリーに適合する強化随伴性、(iii)進化した社会環境によって維持されている特定の随伴性、こうしたものの合成結果がヒトの行動である。
  • Each of the three levels of variation and selection has its own discipline―the first, biology; the second, psychology; and the third, anthropology. Only the second, operant conditioning, occurs at a speed at which it can be observed from moment to moment. Biologists and anthropologists study the processes through which variations arise and are selected, but they merely reconstruct the evolution of a species or culture. Operant conditioning is selection in progress. It resembles a hundred million years of natural selection or a thousand years of the evolution of a culture compressed into a very short period of time,
    種の多様性も種の淘汰も3つのレベルがありそれ独自の領域がある。第1の領域は生物学、第2の領域は心理学、第3の領域は人類学である。第2領域のオペラント条件づけのみが、瞬間、瞬間、が観察できる速度で生じている。生物学者も人類学者も多様性が生まれたり淘汰がなされる過程を研究するが、他は種や文化の進化過程を観念的に再構成してみるだけである。オペラント条件づけは淘汰の過程そのものであり、何億年にわたる自然淘汰、何千年にわたる文化の進化がきわめて短い時間に圧縮されている。
 2番目の引用箇所では、人類学に言及されているが、私自身は人類学については全く素人であり、このような特徴づけが正確であるかどうかは何とも言えない。いずれにせよ、行動の進化について最も直接的院アプローチできる分野が、行動分析学であることは間違いあるまい。


 次回に続く。