じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2月19日(日)の岡山はほぼ一日中快晴となった。写真は文学部西・駐車場から眺めるミモザとゴールドクレスト。
 ミモザのつぼみが日に日に色づいている。

2017年2月19日(日)



【思ったこと】170219(日)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(5)第2章

 12月18日の続き。

 本書第2章「B.F.スキナーという人」ではスキナーの短い伝記が紹介されている。何度か言及しているように、本書は、スキナーの娘にあたるジュリー.S.バルガスさんが推薦序文を寄せておられることからみて、スキナーの私生活面についてはかなりの精度が期待される。(身内なので、仮に悪評をもたらすようなエピソードがあった場合は覆い隠される可能性もあるが。) 但し、本文にも書かれているように、ある人の主張内容が正しいかどうかということと、その主張をしている人が立派な人格者であるか犯罪者であるかということは全く関係がない。といっても、スキナーは別段悪人というわけではなく、「典型的な学者の生涯を過ごし、死に至るまで最初の奥さんを大切にした(今日では、これは典型的とは言えないのが現実だ!)。学位を取った大学(ハーバード)を名誉教授で引退している。」と記されている。

 スキナーの氏名は通常、バラス・スキナー(Burrhus Frederic Skinner)と表記されているが、本書は訳本では「バーハス・フレデリック・スキナー(バーハスは母親の旧姓)」となっていた。確かに、ネイティブの発音では「バーラス」よりは「バーハス」というように聞こえる。監訳者の佐久間先生はこのあたりについて詳しく調べておられるようなので、「バーハス」が妥当かもしれない。

 すでに言及しているように、2人の娘さんのうちのお一人、ジュリーさんは、、現在、ウエストバージニア大学で行動学の教授になっている。また、デバラは、ロンドンで美術を勉強し、現在ロンドンに住み、著名なエッチング作家になっておられるという【本書刊行時点】。ネットで「Deborah Skinner Buzan」を検索したところ、お写真、作品のほか、「I was not a lab rat.」というガーディアンへの投稿記事もヒットした。ちなみに、デバラ(「デボラ」という表記もあり)さんに関しては、「エアークリプ」とか「赤ん坊あやし装置」が知られているが、これまた、スキナーボックスに赤ん坊を監禁していたというようなウソが広められた。

 スキナーの子ども時代は、読書好き、メカ好きであったと紹介されている。これらはいずれも将来の研究に生かされている。もっとも、スキナーの若い頃の夢は作家になることであり、これは思うようにはいかなかった。
...作家は、人間の行動を正確に描くべきなのに、いっこうに作家はそれを理解していない。私はずっと人間の行動に興味を抱き続けていた。文学という手法は私を落胆させるばかりだった。それで、科学へ転向した。
A writer might portray human behavior accurately, but he did not therefore understand it. I was to remain interested in human behavior, but the literary method had failed me; I would turn to the scientific.
というように回想されている【Skinner; B. F. (1970). B. F. Skinner, an autobiography. In P. B. Dews (Ed.), Festschrift for B. F. Skinner (pp. 1-21). New York: Appleton-Century-Crofts.】

 次回に続く。