じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 津島東キャンパスの南東端にあるプラタナスとアオギリ。木肌に魅力があり、落葉した今の時期のほうが、若葉や黄葉よりも美しい。

2017年1月29日(日)




【思ったこと】
170129(日)ACTの価値論(5)価値vs.ゴール(1)

 昨日に続いて、ハリス(2012)の第11章「何が大切かを知る」についての考察。

 ハリス(2012)の324頁以下では、価値とゴールの違いについて詳しい論考がある。じっさい、現代社会では、ゴールを重視する傾向が強く、本来の価値を見失いがちである。
私たちが生きる社会は,ゴールを重視する傾向が強く,価値が注目されることはほとんどないのだ。だからそんなときは,心理教育として,価値というのは人生の進路や方向性のようなものであるのに対し,ゴールとは手に入れたいものや成し遂げたいことを指すと説明しよう。この点を理解してもらうのに,私たちはよく価値をコンパス(方位磁針)に喩える。
 ここで念のため確認しておくが、ランダムハウス英語辞典で「goal」を調べると、
  • 【1】{通例 one's goal}目的,目標(end):
  • 【2】目的地,行き先.
となっていて、目的、目標のいずれの意味も含んでいることが分かる。また、ネット上で「目的」と「目標」の違いを検索してみると、さまざまな立場が表明されている。上掲のハリスの「価値というのは人生の進路や方向性のようなものであるのに対し,ゴールとは手に入れたいものや成し遂げたいことを指すと説明しよう。」という定義を見る限りは「ゴール」は「目標」に近く、「価値」はコンパスのように進路や方向性を指し示すという点では「目的」に近いように思われる。もっとも、価値は目的と違って「いま、ここ」と結びついている。ま、現実問題として、そもそも「人生の目的」なるものが存在するという根拠はどこにもない。そういうことに時間を費やしてもおそらく答えは見つからない、もしくは、カルト宗教の罠にはまるだけかもしれない。目的の無いままに進路や方向性が定まるのかどうかは疑問も残るが、脇目もふらず何が何でも1点をめざして猪突猛進という方向性がすべてではなく、もっとジグザグに、方向修正をしながら適宜選択をしていくというライフスタイルがあってもよいようには思う。

 ちなみに、「ACT 目的」で検索してみたところ、
当団体は,文脈主義的な行動科学とその実践を促進するとともに,人間が抱える苦悩を軽減し,生活の質を向上することを目的としています。
というACT JAPANの設立趣旨が記されていた。ここに記されている「目的」というのも、具体的な達成目標とは異なり、方向性のみを示す内容となっている。

次回に続く。