じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



01月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 Gポイントのゲーム、「脳年齢チェック」に毎日チャレンジしているが、このところ5日連続で30歳代、特に1月26日には、これまでで最も若い「33歳」という判定を頂戴した。実際に若返っているというより、練習効果によるものと思われる。なお私の場合はマウス使用なので、タブレットのタッチに比べるとどうしても遅くなる。

2017年1月26日(木)




【思ったこと】
170126(木)ACTの価値論(2)

 ハリス(2012)の第11章「何が大切かを知る」321頁以下では、何が価値で何が価値でないのかについて、まず3つの要素が提唱されている。
  1. 継続的な行動:価値とは「継続的な行動」に関するものである。
  2. 包括的な性質:価値は,継統的な行動が持つ包括的な性質に関するものである。
  3. 望ましい:価値とは,継続的な行動に「望ましい」性質である。
 すでに述べたように、スキナーは
Happiness does not lie in the possession of positive reinforcers; it lies in behaving because positive reinforcers have then followed.
【佐藤方哉先生訳】
幸福とは、正の強化子【=好子】を手にしていることではなく、正の強化子【=好子】が結果としてもたらされたがゆえに行動することなのです。
というように幸福を定義したが、これは原文の「does not lie in」、「it lies in」という表現から示唆されるように、「○○が満たされれば必ず幸福になれます」という必要条件を述べたものではなく、あくまで「幸福は○○の中にある」という幸福の必要条件を述べたと考えることができるだろう。

 いっぽう、ハリスが説く「価値」のほうは、「継続的な行動」を第一に挙げている点では、スキナーの「正の強化を受けている(=好子出現で強化されている)行動」と同じことを指摘していると言えるが、
  • 1.において、単に「強化されている行動」ではなく「継続的に強化されている行動」を挙げていること
  • 2.の「包括的な性質」と3.の「望ましい性質」は、スキナーの定義にはなかった新たな必要条件を付け加えていること
という点で、幸福の必要条件をより確実なものとしており、必要条件から必要十分条件に近づいた内容となっている。【但し、以下にも述べられているように、ACTでは「幸福」を価値とは見なしていないので、あくまで「価値」もしくは「生きがい」の必要条件と見なしたほうがよいかもしれない。】

 では「継続的な行動」とは何か? ハリスの本では以下のように区別されている。【以下、長谷川により改変。】
  • 毎日の生活の中で,どのように行動したいか,つまり何を続けていきたいか,ということが問題となる。
  • 他者を愛すること,気遣うこと,与えること,分かち合うこと,尽くすこと,良い友遠でいること,健康を保つこと,心を開いて正直でいることなどが考えられる。
  • 対照的に,ゴールとは,私たちが手に入れたいもの,所有したいもの,達成したいことである。つまり,毎日の生活の中で実行できないものは価値ではないということだ。
  • 幸福は価値ではない。なぜなら,あなたは幸福を「する」ことはできないからだ。
  • どこかに帰属しているという感覚も価値ではない。それは「する」ことができないからだ。
  • 他者から愛されること,尊敬されることも,価値ではない。やはり,そららも「する」ことは不可能だ。
  • 大型車を持つこと,豪邸を購入すること,良い仕事に就くこと, 素晴らしいパートナーを得ること,ほっそりした体になること? どれも継続的に「する」ことができない。だから,そのどれもが,ゴールであって,価値ではないのである。
 上記の要約引用から分かるように、ACTのいう「価値」は「幸福」や「ゴール」とは明確に区別されている。

次回に続く。