じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



11月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 文学部中庭花壇の「極夜」状態。南側の建物の陰により日中でも直接日が当たらなくなっている。この状態は1月下旬まで続く。講義棟の向こうの半田山で紅葉が進み、「イエローバンド」が見られるようになった。
tr>

2016年11月23日(水)



【思ったこと】
161123(水)関係反応についての講義メモ(17)見本合わせ課題とタクト(2)

 昨日の続き。

佐藤方哉 (2007). 見本合わせは条件性弁別であろうか?−概念分析−. 帝京大学心理学紀要, 11, 1-8.

の4頁では、見本合わせが条件性弁別と考えられてきた理由は、同時弁別におけるオペラントは弁別オペラントと考えられていたからに他ならない、と考察されている。少し長くなるが、該当部分を引用させていただく。
...ハトの青と赤の同時弁別においては、例えば青いキイをつつけば強化され、赤いキイをつついても強化されない。この場合、青がSで赤がSΔということになる。
 しかしながら、継時弁別におけるSとSΔと同時弁別におけるSとSΔとの間には、二つの重要な相違点がある。第一の相違点は、継時弁別におけるSとSΔは決して同時に提示されることはないが、同時弁別におけるSとSΔは常に同時に提示される点である。換言すれば、継時弁別におけるSとSΔは時間的に分離しているが、同時弁別におけるSとSΔは空間的に分離しているわけである。第二の相違点は、継時弁別におけるSとSΔの位置とオペランダムの位置は必ずしも同じとはかぎらないが、同時弁別におけるSとSΔの位置とオペランダムの位置は常に同じである点である。
 上記の引用部分にはいくつか重要な指摘が含まれている。私の理解した範囲でわかりやすく解説すると以下のようになる。

 まず、「同時弁別におけるオペラントは弁別オペラントと考えられていたからに他ならない。」というのは、同時弁別で青または赤の刺激が提示された時に、それに対応した色のキーをつつくことになるので、キーの色は弁別刺激という意味である。どちらのキーをつつくかは見本刺激の色に依存しているので条件性弁別であると考えて問題なさそうに思われる。引用文中で「青がSで赤がSΔということになる。」と記されているのは見本刺激で青が提示された場合のことである。見本刺激が赤であれば、赤がSで青がSΔになる。青や赤は固定された弁別刺激ではなく、見本刺激として示された条件に依存して決まってくるのでまさに定義通りの条件性弁別と言えるように思える。

 続く引用部分では継時弁別と同時弁別の違いが指摘されている。継時弁別にはGo/No-Go型とYes/No型があるがここではより単純なGo/No-Go型について考えてみよう。Go/No-Go型では、見本刺激として青が提示され、続いて比較刺激として青または赤が提示される。青が出た時に反応すれば強化、赤が出た時に反応しても強化されないとすると、比較刺激の青はS、比較刺激の赤はSΔとなる。同時弁別の場合と同様、これは固定された弁別刺激ではない。見本刺激として赤が提示された時は、今度は、比較刺激の赤がS、比較刺激の青がSΔとなる。これも、どちらの色がSになるのかは見本刺激の色に依存しているので条件性弁別であるように思える。

 引用部分で指摘されているように、同時弁別の場合は、SとSΔは同時に提示されており、キーの左右の位置の違いというように空間的に分離されている。いっぽう継時弁別の場合は、見本刺激はSとSΔのうちの1つしか提示されないので、時間的に分離されている。いずれも御指摘の通りと思われる。

 次に第二の相違点として挙げられているのは、「継時弁別におけるSとSΔの位置とオペランダムの位置は必ずしも同じとはかぎらないが、同時弁別におけるSとSΔの位置とオペランダムの位置は常に同じである点である。」という指摘である。継時弁別では、比較刺激として提示される色は反応キーとは違う場所に位置に提示される。同時弁別の場合は、通常、比較刺激として提示される色つきのキー(ボタン、タッチパネルの図形など)に直接反応するので、「とSΔの位置とオペランダムの位置は常に同じ」になる。

 次回に続く。