じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内ではモミジバフウ(アメリカフウ)の紅葉が見頃を迎えている。時計台前の並木や一般教育棟東側のほか、文学部中庭北東端にある樹も鮮やかになっている。ここには2本の樹(いずれもモミジバフウであることを確認済み)があるが、南側のほうが紅葉が進んでおり、北側の樹は一部がまだ緑色のままになっている。2本の色の違いは、日当たりの違い、寒風のあたり方の違いのほか、北側の樹のすぐ横にある街灯が影響しているようだ【写真右下参照】。
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2016年11月15日(火)



【思ったこと】
161115(火)関係反応についての講義メモ(10)実験による検証方法、あるいは類似した日常場面(8)「同一性」、「同じモノを選ぶ」、「どちらが多い」(3)

 昨日の続き。

 今回は、「どちらが多い」(もしくは「どちらが少ない」)について考えてみることにしたい。

 どちらが多い、少ないという判断の対象には、数えられるモノ(離散事象)と、液体のような数えられないモノ(面積や体積で比較)があるが、まずは前者について考えてみる。これは例えば、テーブルの上にリンゴ3個とミカン2個を並べて「どちらが多い?」と尋ねる課題である。この場合、リンゴはリンゴ、ミカンはミカンとしてそれぞれ「同じモノ」と見なすことが前提となる。但しここでいう「同じ」というのは「同じと見なす」、「同じカテゴリーに入れる」という意味であって、見分けがつかないほどそっくりである必要はない。大きさや形の違うリンゴや、夏みかんと冬ミカンが混じっていても、カテゴリー分けができれば「多い・少ない」の判断はできる。

 ここで1つ気になるのが、同一見本合わせ課題との関連である。例えば、3つのパネルが横に並んでいて、まず中央のパネルに赤色が照射される。

□    □

続いて左右に比較刺激が提示されたとする。(「同時、選択型見本合わせ」)

    

この場合、右側の赤いパネルを押せば正解、左側の青いパネルを押せば不正解となるが、見てわかる通り、同時見本合わせの場合は、赤色の面積のほうが多くなる。パネルが接近しているとますます面積の比較と似ているように見えてくる。



あくまでそれぞれのパネルを離散的な事象と見なすのであれば、「2枚の赤い色のパネルは同じだ」という「同じ、違う」という判断がなされていると言えるが、全体の面積で比較する場合、同じか違うかという判断は必ずしも求められない。2つのコップにそれぞれ青い水と赤い水を入れて、どちらがたくさん入っているのかを比較させるような課題と区別がつかなくなる。

 ではどうすれば、「多い、少ない」と「同じモノを選ぶ」課題を区別できるのだろうか。1つの方策としては、見本刺激は別の場所に提示しておき(例えば上段)、下段には、青と赤の数をいろいろな比率で提示し、上段と同じモノを押してもらうという課題が考えられる。この場合、↓のように、赤色のパネルの数が少なかった場合でも、赤色のパネルだけを押すことができれば、同じモノを選べたという証拠にはなるだろう。




 次回に続く。