じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 10月3日の夕刻は、台風18号と秋雨前線による不安定な気流が影響し、美しい夕焼けが見られた。先月拝観した建仁寺の双龍図に似ているようにも見えた。

2016年10月03日(月)



【思ったこと】
161003(月)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(121)アナロジー、メタファー、そして自己の体験(58)「般化オペラント」についての復習(39)RFTからみた般化オペラント(13)

 10月02日の続き。

 般化オペラントについて10数回にわたり復習記事を連載してきたが、今週から新学期(今年から「後期」ではなく「第3クォーター(3Q)」と呼ぶ)が始まったこともあり、ひとまず今回で最終回とさせていただく。

 最後に念のため、RFTの諸概念(関係フレーム、派生的関係反応)と般化オペラントとの関係について、重要と思われる記述を再度引用しておく。

 まずは、Hayes, Barnes-Holmes, & Roche(2001)の第8章「RELATIONAL FRAME THEORY: A PRECIS」から。【下線は長谷川による】。
Relational Frame Theory is a behavior analytic approach to human language and cognition. RFT treats relational responding as a generalized operant, and thus appeals to a history of multiple-exemplar training. Specific types of relational responding, termed relational frames, are defined in terms of the three properties of mutual and combinatorial entailment, and the transformation of functions. Relational frames are arbitrarily applicable, but are typically not necessarily arbitrarily applied in the natural language context.【141頁】


 次に、RFT諸概念との関係についてこの連載の元の書籍、

Torneke, N. (2010). Learning RFT: An Introduction to relational frame theory and its clinical applications.  New Harbinger Publications.【トールネケ, N.(著)武藤崇・熊野宏昭(監訳). (2013). 関係フレーム理論(RFT)をまなぶ:言語行動理論・ACT入門. 星和書店.】

の中から、関連部分を備忘録代わりに抜き書きしておく。
  • 派生的刺激関係を示すことは行動のひとつの形態であり、それは反応の一種である。【翻訳書94頁】
  • 刺激が有する機能とは、刺激に本質的に備えられた性質ではない。その機能は、より幅広い状況(文脈)と個人の反応についての分析を通じてしか決定することができない。【翻訳書97頁】
  • 派生的関係反応が人間行動全体に対して及ぼす効果は、派生的刺激関係が確立されたときに刺激機能が変容されるという事実の結果である。RFTでは、このことを刺激機能の変換と呼ぶ。)【翻訳書102頁】
  • 関係フレームづけ(relational framing) とは恣意的に適用可能な関係反応(arbitrarily applicable relational responding) であり、この行動は,般化オペラントである。般化オペラントは、特定の行動が、トポグラフィーによる記述ではなく、機能的な恵味においてのみ記述され得ることを強調することが重要な場合に,オベラント行動を説明するため用いられる【翻訳書116頁】
  • 関係フレームづけは般化オペラント行動に含まれる。私たちが、物事をさまざまな種類の関係(反対、比較、空間的、時間的など)でフレームづけすると語るとき、「関係フレーム」という用語はメタファーである。それは、フレームというものが、何でも含めることができるということを引き合いに出したものである。この用語は、関係フレームが精神的な対象物として存在するということを意味するのではない。関係フレームは、人々がさまぎまな種類の関係のなかに物事を位置づけることができることを表現するための方法である。つまり、私たちは、物事をフレームの中に当てはめるのである。明らかに、当てはめるというのも、メタファーである。この関係づけは、関係づけられる刺激のいかなる形態的、あるいは物理的な性質にも基づかない。むしろ、これらの関係は、人間の行動の特有の現れの結果としてもたらされるものであり、それは文脈手がかりによって支配されでいる。関係フレームづけは、人間が人生のごく初期に、オペラント条件づけを通じて学ぶ行動であり、すでに言及した3つの現象(相互的内包、複合的相互的内包、確立された関係に応じて生じる刺激機能の変換)によって特徴づけられる。【翻訳書117頁】
  • RFTによれば、言語行動とは、刺激(出来事)を関係の中に置き、結果としで生じる関係に基づいて、刺激に対してアクションし、あるいはリアクションすることである。この行動は、言語学習のごく初期に学習されるもので、般化オペラントである。【翻訳書123頁】
  • 「恣意的に適用可能な関係反応」と「関係フレームづけ」は、同義語である。同じように同義の用語は、本章の章題にも使われている「派生的関係反応」である。人間にとって、この行動は、学習の可能性を決定的な仕方で変える。つまり、それは、刺激機能が刺激間の非恣意的関係、あるいは随伴性によってのみ決まるものであった場合には不可能な仕方で、刺激機能を操作することを可能にする。ひとたび派生的関係反応が学習されて示されると、刺激機能は、これらの反応を通じて、瞬時に変わり得る。弱化的だったものが強化的になることができ、その逆もまた可能となる。【翻訳書124頁】