じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 京都御苑の東側にある寺町御門。御所九門のうち南東側に位置しており、門越しに大文字山を眺めることができる。大文字山はもう1つ北にある清和院御門越しにも眺められると聞いているが、今回は確認していない。クレーンが写っている、御苑東側にも高層ビルが増えており、この景観がいつまで保たれるのかは不明。

2016年07月23日(土)


【思ったこと】
160723(土)「ポケモンGO」より自然探索

 「ポケモンGO」なるスマホゲームが日本でも配信開始されたという。ちょうど京都に行ってきたところであるが、街角や広場などで、スマホの画面を見ながらウロウロしている若者たちが異常に多いように感じた。このほか、新幹線などの車内では、スマホ操作をしながら歩行することの危険を周知するメッセージが流れていた。

 私自身はそもそもスマホを使っていないので、このゲームで遊ぶことができないが、ネットやテレビの情報を伝え聞いた限りでは、このゲームはGPS機能と連動しており、グーグルのストリートビューのような風景画面の上に現れたポケモンに、「画面上のモンスターボールをスワイプして投げると、捕まえることができます。」というゲームであるようだ【こちらに案内あり。】

 グーグルのストリートビューであれば、自宅のデスクトップで居ながらにして世界各地の街並みを探索することができるが、「ポケモンGO」の場合は位置情報に連動しているため、実際に外にでて歩き回らないと捕まえることができないようである。

 実際に遊んだことがないのでゲーム自体の面白さについては全く評価できないが、実際に遊び出したらたぶんハマってしまうとは思う。もっとも、私の場合、老眼がかなり進行しているため、老眼鏡無しで小さな画面を見ることは不可能。といって老眼鏡をかけたままでは実際の景色は見えない、眼鏡を外した直後は遠くの景色がぼやけたままなので、往来の激しいところではかなりの危険が伴う。またいずれ耳が遠くなってきたら、近づいてくる車やバイクに気づかない恐れもある。人間いずれは死ぬ運命にあるが、「ポケモンGOに熱中していて交通事故で死亡」などという死因はあまりにも格好悪い。

 こうした事故の危険性を含めて、いくつかのリスクが指摘されている。内閣サイバーセキュリティセンターからも、ツイッターなどを通じて、ポケモントレーナーのみんなへおねがい♪という注意喚起文書が発出されている。注意点として、
  • 1.個人情報を守ろう
  • 2.偽アプリ、チートツール注意
  • 3.お天気アプリは必ず入れよう
  • 4.熱中症を警戒しよう
  • 5.予備の電池を持とう
  • 6.予備の連絡手段を準備しよう
  • 7.危険な場所には立ち入らない
  • 8.会おうという人を警戒しよう
  • 9.歩きスマホは×ですよ
という9点が挙げられていた。

 ま、外に出て歩き回るという行動が強化されること自体は健康にプラスになるとは思うが、交通事故や種々のトラブルが社会問題化すれば、いずれ何らかの法的規制がかけられることになるだろう。

 もっとも、私自身がいちばん気がかりに思うのは、そういうバーチャルな対象に関わりを持つことで、リアルな自然、例えば道端に咲いている「世界で1つだけの花」、「世界で1つだけの昆虫」といったものに注意を向ける機会が相対的に奪われてしまうのではないかという点である。また、リアルな対象をじっくりと観察したり、小さな努力を積み重ねた上で新しいものを能動的に創り出すという時間も相対的に奪われてしまうようにも思う。

 日曜日の朝、NHK総合でたまたま上方落語「西行鼓ヶ滝」をやっていた。この鼓ヶ滝というのは今は存在しない名滝だそうだが、いずれにせよ、そういう滝が現存していたとしても、「ポケモンGO」に熱中している人には滝の音も、タンポポの花も目に入らなくなる。「伝え聞く鼓ヶ滝に来て見れば沢辺に咲きしたんぽぽの花」などという歌を詠むこともなく、ひたすらポケモン探しに注意を奪われることだろう。熱中することで滝壺に落ちるリスクが増すことよりも、滝の音やタンポポの花(←「白百合」に直されてしまう【※】)に注意を払わずに通り過ぎてしまうことのほうがいっそう気がかりである。
]タンポポは江戸時代には「ツヅミグサ(鼓草)」とも呼ばれていたそうなので、「白百合」よりは「タンポポ」のほうが滝の名前に通じているようにも思う。但し、西行の時代に鼓草という呼び方があったのかどうかは未確認。