じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 大学構内・芝地で繁殖するスイセンノウ(左)とホタルブクロ(右)。いずれも、私が岡山に赴任した1991年当時から生育している多年草。最近は園芸に詳しい職員がいなくなったため、草刈り作業の際に刈り取られてしまうこともありだいぶ減ってしまったが、敷石沿いなどでしぶとく花を咲かせている。

2016年05月27日(金)


【思ったこと】
160527(金)韓流ドラマ「君の声が聞こえる」

 BS-TBSで放送されていた君の声が聞こえるが5月25日で最終回となった。前月のピノキオと同じ時間帯に放送されていたため、録画予約が自動的に継続しており、初回から録画再生で視続けることができた。

 全体として非常に感動的な展開であったが、まずは、私にとってネガティブな印象を受けた点を2つ挙げておく。【以下、ネタバレ満載につき、まだご覧になっていない方はご注意ください。】









 1つ目は、ドラマとはいえ殺人事件が多すぎること。ざっと振り返っただけで、主人公のパク・スハの父、同じくチャン・ヘソンの母、さらに、野菜売りのおばさんなどが、ミン・ジュングクによって殺されてしまった(心臓手術の医師も殺された疑いあり)。私のような、加齢が進む中でひたすら平穏無事な生活を志向する者にとっては、殺人や格闘シーンは刺激が強すぎる。こういうドラマであると知っていたら視ていなかったかもしれない。

 もう1つは、5月4日でも触れたが、殺人未遂容疑の被告が出廷の直前まで街中を歩いていたり、左腕が発見されたというだけで殺人容疑をかけられたり、担当検事と担当弁護士が裁判所の中で私語を交わしたり、...といった展開はかなり不自然であるように感じた。もちろんドラマである以上、現実にはあり得ない設定を「ドラマのお約束事」として受け入れる必要はあるとは思う。

 もっとも、そうしたお約束事は、主人公の能力、現代と過去とのタイムスリップ、といったストーリーの本質に関わる部分に限定されるべきであろう。主人公たちが活躍する「現場」自体までを現実から遊離させてしまうと、ドラマ全体が嘘っぽく見えてしまう。例えば、屋根部屋のプリンスでは、タイムスリップや転生という、あり得ない出来事が描かれていた。しかし、タイムスリップでやってきた現代はリアルな世界そのものであって、どこにも不自然さはなかった。「現場」をリアルに描いているからこそ、「こんなことが起こったらスゴイ」といったお約束事が生きてくるのである。今回のドラマでも、主人公は「相手の目を見るだでその人が考えていることを読み取れる」という超能力を持っていた。これはお約束事に含まれており、かつ、ドラマの各場面で十分に生かされていた。いっぽう、上に挙げたような裁判に関わる不自然な場面は、やはり、お約束事としては受け入れにくい。どうしても、嘘っぽい話という印象を受けてしまう。

 以上挙げたような問題点を感じたものの、
  1. 主人公のパク・スハ、チャン・ヘソン、さらにソ・ドヨンが様々な体験を通じて成長していく様子
  2. 「目には目を 歯には歯を そんな生き方をしたら 人をこの世の誰もが目を失ってしまう 人を憎むことに人生を使うんじゃないよ 1度きりの人生 愛する時間すら足りないんだ」というヘソン母(←冬ソナのユジン母)の最期の言葉の大切さ
  3. タイトルにある通りの「相手の声を聞く」ことの大切さ
という主題はよく描かれており、これまで視たドラマの中でも5本の指に入る名作品であったと思う。5月27日に、オバマ大統領が広島を訪問したというニュースが伝えられたが、過去の戦争、いまなお世界各地で続く内戦を解決していくためには、上掲の3点の中でも2.の台詞はとりわけ大きな重みがあるように思う。

 なお、5月4日で、主人公チャン・ヘソンを演じるイ・ボヨンさんが、どこか、こちらの方のお若い頃にそっくりだという印象を受けたと書いたが、その後回を重ねるなかで、そういう印象はすっかり消えた。さすが演技力抜群で、とりわけ、法定での流ちょうな弁舌や、細かい表情がとても光っていた。このドラマはやはり、イ・ボヨンさんあればこそ高く評価されるべきといってよいだろう。

 韓国の俳優さんのことは殆ど存じ上げていないのだが、イ・ボヨンさんは大女優として知られており、また、このドラマが韓国で放送(2013年6月5日〜2013年8月1日)されたあと、2013年9月27日にはチソンさんと結婚式を挙げ、昨年6月13日に第一子の女児を出産されたとのことである。1979年のお生まれなので放送当時の実年齢で言えば34歳、いっぽう、パク・スハを演じたイ・ジョンソクさんは1989年生まれなので、放送当時の実年齢で言えば24歳でちょうど10歳年下ということになる【ドラマ自体では、それぞれ29歳と19歳という設定になっていたと記憶している】。

 現実世界で女性のほうが10歳年上という恋愛・結婚が可能なのか、については何とも言いがたい。それが幸せである限りは当事者にお任せすればよいとも言える。もっとも、1つ前に視たピノキオに比べると、2人はそれぞれ独立した職種を目指しており、ピノキオのようにプロの記者としてしっかり活躍しつつお互いに協力したり励ましたり支え合ったりしているという前向きの愛は、このドラマでは形成されていなかったようにも思える。ま、必ずしも、恋愛や結婚ばかりが男女の関係である必要はない。結婚生活33年目の私が言うのも何だが、男女の関係はもっと多様であるべきで、恋愛や結婚はむしろ多様な関係の可能性を妨げてしまう恐れすらある。パク・スハとチャン・ヘソンは、別段、結婚という形で結ばれなくても、お互いの成長を支え合っていくことはできるはずだ。

ということで、このドラマの感想は終了。さて、同じ時間帯では、今度は、「匂いを見る少女」という何ともケッタイなタイトルのドラマが始まった。成り行きで録画を続けているが、今回取り上げた「君の声が聞こえる」や、1つ前の「ピノキオ」に比べるともう少し軽い(←深刻でないという意味)展開になるようだ。主人公を演じるパク・ユチョンさんにお目にかかるのは、屋根部屋のプリンストキメキ☆成均館スキャンダルに続いて3度目であり、私個人にとっては、「冬ソナ」のイ・ギョンヒ(ユジンの母)、「ピノキオ」のパク・ロサ(ボムジョの母、デパート会長)、「君の声が聞こえる」のオ・チュンシム(ヘソンの母)を演じたキム・ヘスクさんと並んで「最多出場」となる。このほか、「私の心が聞こえる?」の影の主人公とも言えるチャン・ジュナ(ポン・マル)を演じたナムグン・ミンさんや、「君の声が聞こえる」でミン・ジュングクの刑務所仲間のファン・ダルジュンを演じたキム・ビョンオクも登場しておられるようである。もしこの「匂いを見る少女」を最終回まで視続けたとすると、私にとっては、人生始まって以来の、ドラマ3作品連続視聴ということになるがどうなるだろうか。