じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



04月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 4月30日の夕刻、イオンモール岡山を初めて訪れた。この店は2014年12月5日にグランドオープンしておりすでに1年半近く経過しているが、ショッピングには全く興味のない私にはこれまで訪れる機会が無かった。駐車場は空いていたが、帰りのさい、出口のスロープがかなり渋滞していた。

2016年04月30日(土)


【思ったこと】
160430(土)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(13)般化(1)

 4月28日の続き。

 原書24〜25頁(翻訳書35〜36頁)では、般化(Generalization)についての概要が説明されていた。

 冒頭部分では
The fact that, in an operant sequence of events, a certain stimulus functions as a discriminative or motivational antecedent, or as a reinforcing or punishing consequence, does not mean that a new event must be identical to have the same function. If that were the case, learning would practically be impossible, since two events are, in fact, never exactly the same. Instead, two stiniuli or two events need only be "similar enough."
今まで見てきたように,特定の刺激が,出来事のオペラント連鎖の中で,弁別的または動機づけの先行事象として機能する,あるいは,強化的または弱化的な結果として機能するようになる。しかし,新しい刺激がその特定の刺激と同じ機能を持つには,その刺激自体とまったく同一である必要はない。もしそうだとしたら,学習は事実上不可能になってしまうだろう。なぜなら,2つの刺激や出来事が同一などということはまずないからである。そうではなくて,2つの刺激や出来事が「十分に似ている」だけでよい。
と記されており、2つの刺激や出来事が同一などということはあり得ない点はその通りであるとは思うが、そもそも刺激とは何か、何をもって似ているとするのかについては注意が必要である。また上掲では、先行事象と後続事象をひっくるめて説明しているが、先行事象の般化と後続事象の般化、さらには反応における般化については分けて考える必要があると思う。

 まず、先行事象における般化については、刺激とは何かという基本的な問題を考慮しておく必要がある。長谷川版・行動分析学入門【現在、増補改訂中】第1章1.6のところに述べたように、行動を実験的に分析するという場合、刺激の定義上重要なポイントが2つある。
  • 1つは、刺激は、それを提示する側から操作的に定義されるという点です。例えば、「10ワットの青色ランプを5秒間点灯した」というのは、提示者(実験的行動分析であれば実験者)の操作としての定義です。提示された側は、もしかしたら目をつぶっているかもしれませんが、実験手続上は「提示した」と記述されます。これにより、実験の再現性が保たれるというメリットはあります。
  • もう1つのポイントは、今述べた1番目と関連しますが、実験者が自分で勝手に決めた基準で刺激を分類して提示しても、提示された側は必ずしもその分類をそっくり受け止めてはいないという可能性です。
 通常、刺激が似ているかどうかは、何らかの物理次元において量的な類似度に基づいて判断される(例えば、大きさ、重さ、長さ、色の波長、音の高さなど)。その限りにおいては客観的であり再現性が保証されている。しかし、どういう物理次元が重要であるのかは、刺激を提示する側の都合ではなく、刺激を受けた側の受容器の特性や文脈によって変わってくるのである。

 例えば、イトヨの雄は、繁殖期になると体の下面が赤くなり、縄張りに侵入してきた別の雄を追い出そうとするようになる。模型を使った実験によると、そのさいに攻撃対象となるのは、イトヨに形が似ている模型ではなく、単に下半分が赤い模型であることが決め手になっているという。この場合、イトヨの雄にとっては、形ではなく、下半分が赤いという共通特徴が「似ている」刺激であるということになる。

 また、これは学術的にはまだ完全には確認されていないエピソードであるが、アフリカのヒンバ人は、
  • 水は「白」、空は「黒」
  • 緑色のシールの中から、ヒンバ人以外では見分けにくいような特定の緑色のシールを素早く見つけられる
  • 緑色のシールの中から、ヒンバ人以外では簡単に見つけられるような特定の青色のシールを見つけ出すのが困難
といった特別の色覚を示す人がいるという。この場合、どのような色が「似ている」のかにはかなりの隔たりがあると言える。

ということで、統制された条件のもとで般化勾配(generalization gradient)を確認するような実験的研究は別として、日常諸現象においては、何が似ているかどうかを、アプリオリに規定することは難しい。また、何かの刺激を提示する際には、提示者側の都合ではなく、提示される側がそれをどう受け止めているのかを多面的に確認しておく必要がある。

 次回に続く。