じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



04月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 日曜日の昼頃、たまたまお会いした理学部・名誉教授の先生から、クスノキの葉っぱにダニ室があることを教えてもらった。この方面ではこちらの方の研究が注目されているという。文学部を卒業後、理系の研究者の道に進まれた方としても知られている。

2016年04月24日(日)


【思ったこと】
160424(日)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(8)オペラントとレスポンデント(1)

 昨日の続き。

 原書20頁(翻訳書28頁)からはレスポンデント条件づけについて解説されている。オペラント条件づけの「Learning Through Consequence(結果による学習)」に対して、レスポンデント条件づけは「Learning by Association(連合による学習)」という見出しで特徴づけられている。ここで「連合」という言葉が使われていることには違和感があるが、より詳しい説明としては、
  • オペラント条件づけ:The core principle in operant conditioning is that the consequences following a behavior (a response) influence the probability of the behavior being repeated.
    ある行動(反応)に後続する結果が,その行動の繰り返す確率に対して影響を与える
  • レスポンデント条件づけ:Whereas the power of consequences over behavior is the main point in what we call operant conditioning, respondent conditioning describes the power of certain antecedents to trigger a reflexive behavior. Put simply, under a certain circumstance we will react. If the same circumstance, or one much like it, reoccurs, it provokes the same reaction based entirely on the anteced ent. The behavior occurs regardless of earlier consequences following this reaction.
    オペラント条件づけと呼ばれるものでは,結果が行動に対しで持つ力が重要なポイントとなる。一方,レスポンデント条件づけは,特定の先行事象が反射行動を引き起こす力について記述している。簡単に表現するなら「特定の状況に置かれれば,私たちは特定のリアクションをするだろう」ということである。もしも同じ状況,またはよく似た状況が再び生じた場合,同じリアクションが,純粋に先行事象だけに基づいて誘発されるのである。その行動が生起するのは,以前に,このリアクションに続いて生じた結果と無関係なのである。
とされており、「連合」が説明概念として使われていないことに留意しておく必要がある。

 行動分析学の入門書では、ふつう、レスポンデント行動は誘発刺激によって誘発される行動、オペラント行動は誘発刺激がなくても自発される行動として定義されているように思われるが、本書では、行動が結果によって変わるのか、それとも、純粋に先行事象だけに基づいて誘発されるのか(行動の結果とは無関係)という点に力点が置かれている。確かに、「オペラント行動は自発される行動」であると言っても、実際には、確立操作や弁別刺激などの先行事象は無視できない。むしろ、結果()によって変わる行動がオペラント行動、変わらない行動はレスポンデント行動であるとして区別したほうが分かりやすいかもしれない。
少々脱線するが、ABCのCは「結果(Consequence)」となっているが、私はむしろ「後続事象」とすべきであると思っている。行動と後続事象の関係は、時間的な近接だけであって、因果関係は前提とされていないからである。

 本書では、オペラント条件づけ同様、レスポンデント条件づけについてもプラグマティズムに基づく真理基準が強調されている。
Again, it is important to remember that this does not uncover mechanical processes that are actually out there "in reality," as phenomena in their own right. The terminology of behaviorism is simply a way of speaking about this issue, and we employ it because it is useful. It serves our purpose to distinguish between operant and respondent in this way. Although these processes coexist in the web of events we are trying to understand and influence (more on this below), for the sake of clarity I will isolate what we think of as respon dent processes.【原書20頁】
ここでもまた,忘れてはならないことがある。つまり,レスボンデント条件づけは,それ自体で成立する現象として「リアリティの中」に発見されるような機械的なプロセスではない,ということである。行動主義の用語の使い方は,問題について語るときのひとつの力法にすぎず,私たちがそれを使うのは,それが役に立つからである。同様に,何がオペラントで,何がレスポンデントなのかを区別するのも,私たちの目的である「予測と影響」に有用だからにすぎない。オペラントとレスポンデントの2つのプロセスは,私たちが「予測と影響」を与えようとしている一連の出来事の中に,共に存在している(詳細は後述)。しかし,話を明確にするために,レスポンデントのプロセスと考えることができるものを取り出しているだけのことなのである。【翻訳書28頁】
 こうした考え方には確かに説得力がある。日常の諸行動は、レスポンデントとオペラントとして分離するよりも、それらのセットとして考えたほうが分かりやすい。本書にも例示されているが、例えば、食べ物が美味しいか不味いかというのはレスポンデント条件づけによって決まるが、不味い食べ物を再び口にしないのはオペラント行動である。熱いものに触った時に手を引っ込めるという行動も、引き金部分はレスポンデントであるが、その後、同じモノに触ろうとしないのは「触る」というオペラント行動が弱化されたためであると考えられる。

 次回に続く。