じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 3月7日の岡山は最低気温12.5℃、最高気温23.0℃となった。平年値では5月2日(最低気温12.7℃、最高気温22.9℃)のポカポカ陽気となり、花桃、ミモザ、ヒヤシンスのほか、芝地のオオイヌノフグリが一斉に花を開いていた。

2016年03月07日(月)


【思ったこと】
160307(月)コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン(3)

 昨日も述べたように、このプロジェクトでは、
  1. 健康寿命を延伸する環境づくり
  2. 老いの進み方に合わせた心積もり
  3. 最終段階での医療選択

というように様々な角度から超高齢社会に対応した様々な検討が報告された。

 このうち1.に関して、住環境(寒さ対策など)に注目した興味深い報告があった。健康維持を維持するためには、自身の体調ばかりでなくそれに影響を与える外部環境も適切な状態を保つ必要がある。血圧・心拍ばかりでなく室温をモニターしたり、断熱材を使用した改修により温度変化を少なくしたり、さらには住民に対して研修プログラムを実施する、といった対策の実践例が紹介されていた。

 こうした対策は、自然災害の際に設置される避難所の環境改善にも役立つであろう。被災者個々人の体調管理ばかりでなく、体調を悪化させないために、室温をどう維持するか、睡眠をとりやすい環境をどう守るか、運動不足にならないような配慮がなされているか、などが考えられる。

 もう1つ、認知症予防のためのコミュニティの創出と効果検証についての報告もあった。若干気になったのは、対象者280名を介入群140名と対照群140名に分け、介入群のみにコミュニティ・プログラムを実施して効果を比較検討するという検証方法であった。介入群は対照群に比べて「論理的記憶遅延再認」、「6分間歩行距離」、「1日あたりの平均歩数」で有意な効果が検証されたということであったが、こうした群間比較では、対照群の人たちがおざなりにされてしまう。マルチベースラインなど別の検証デザインを用いれば、対照群に割り当てられて効果を享受できないという不公平を避けることができるはずだ。

 3月5日にも述べたが、高齢者は社会の足手まといになるのではなく、むしろ高齢者の社会参画が社会にとっても求められているという時代になりつつある。もちろん、重い物を運ぶとか、若者と同じ長さの時間、労働に従事することはできない。その一方、長年培われてきた技術には精通しており、若者や、前期高齢者との協働により大いに貢献できる面もある。一例として、青森県弘前市のリンゴ農家における協働の例が言及されていた。このほか、高齢者が学校教育をサポートできる可能性についても言及があった。学校の先生が学力面での指導に専念し、生活面での指導を高齢者に委ねるといった活躍の場も期待できそうだ。