じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 3月1日のモーサテ「ビジネス書ランキング」(2/22〜2/28、紀伊國屋書店調べ)によれば、一昨年来、ランキング上位を保っていた『嫌われる勇気』を超えて、新刊の『幸せになる勇気』が第2位となった。いずれも岸見一郎/古賀史健(著)。↓の記事参照。

2016年03月03日(木)


【思ったこと】
160303(木)『嫌われる勇気』(84)100分de名著(12)共同体

 放送最終回の最後のところでは、「1つの共同体にしか所属していない人はいない」、「小さな共同体から切り離されてもより大きな共同体があるんだ」の大切さが説かれていた。1つの共同体に執着してそこから切り離されることを恐れ不本意で強いられるよりも、切り離されてよかったと考えることが自由に生きている証しになる。本のタイトルの「嫌われる勇気」もこのあたりに由来しているようである。

 番組の終わりのところでは、アドラーからのメッセージとして「人生の意味はあなたが自分自身に与えるものだ」(“一般的な人生の意味”はない。こういう生き方がベストだというような、誰にでも当てはまるような普遍的な生き方はない。)が伝えられ、「人生が思いのままになることはないが、困難な人生の中にあって態度決定をすることはできる。すべてはあなた次第だ。」という形で締めくくられた。

 この部分についての私自身の感想は昨年8月13日及びその前後に記した通りである。自由主義社会では、共同体は多かれ少なかれ構成員を相互評価し、内部的にも外部的にもある程度の競争の中で生き残るという宿命を持っている。アドラー的な対応を続けていくと、堅固な共同体からは閉め出されていく可能性が高い。けっきょく、行き着くところは小規模な互助団体や宗教団体の集会所のようなところになってしまうのではないか。それもイヤだと言う人は、他者から一定の距離を置いて自助的生活をめざしていくほかはあるまい。

 このWeb日記で何度も書いているように、私はもともと、人から良く思われたいと思ったことはないし、結果として嫌われたとしても全く気にならないという生き方をしてきた。この点では、『嫌われる勇気』の一部はすでに実践していると言ってよい。そのいっぽう、共同体とか他者信頼ということについては全く関心がなく、けっきょく、単なる個人主義的な生き方に終始してきたということも否めない。ま、そうは言っても他者にはそれほど迷惑をかけてきたわけではないし、結果として世間の役に立つようなことをしているという面もあるかとは思う。あとは、健康寿命が尽きて、他者からの援助なしには日常生活を維持できなくなった時にどうするかという問題が残るのみである。

 上掲の写真にもあるが続編として『幸せになる勇気』が刊行されたとのことなので、4月以降、時間ができたら拝読させていただきたいと思っている。