じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 11月3日【写真右】と11月4日【写真左、中】の早朝の東空。デジカメで、金星と木星のほか、金星のすぐ近くにある火星をかろうじて撮影することができた。金星と火星は11月4日の午前1時9分に0°42′まで接近した。

2015年11月03日(火)

【思ったこと】
151103(火)『嫌われる勇気』(64)連続する刹那としての人生(2)

 10月29日の続き。

 第5夜(第5章)のタイトル「『いま、ここ』を真剣に生きる」、そして「人生とは連続する刹那である」、「ダンスをするように生きる」、「『いま、ここ』に強烈なスポットライトを当てよ」といった見出しは、全体として、結果(成果)ではなく、途中のプロセスにおける「いま」を重視したライフスタイルを推奨しているように見える。この考え方は、8月29日に取り上げたACTの考え方と共通していると言えよう。実際、ディスニーランドに向かう車のメタファーなどは、ACTばかりでなくアドラー心理学でも説明に使えそうだ。

 もっともこのあたり、ACTでは、「価値」という概念が主要な柱となっている。8月29日の引用を再掲すれば、「価値」はゴールとは明確に区別され、かつ、継続的な行動の指針となるものである。
  • 価値は「今、ここ」にあるものでゴールではない。コンパスのようなものに喩えられる。
  • 願望、欲望、必要は継続的な行動の指針ではないので価値とは言えない。
 元の話題に戻るが、いくら「いま、ここ」と言っても、数分前に起こった出来事をすっかり忘れてしまうような記憶障害を意味しているわけではないと思う。あらゆる行動は一定時間の継続や複数の行動の連鎖として意味をなすものである。そのスパンをどの程度の長さとするのかは、個々人のライフスタイルや年齢にもよるかとは思うが、いずれせよ、何らかの手段・目的関係抜きには行動を語ることはできない。じっさい、行動分析学者の中には目的論的行動主義を唱える人たちもいる【こちら参照】。

 「いま、ここ」に関してもう1つ、海外に出かける際の飛行機搭乗の例を考えてみることにしたい。通常、日本からヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、オセアニア方面に出かけるためには、飛行機に10時間以上乗る必要がある(←以前、南米のボリビアに行った時は、乗り継ぎの待ち時間を含めて38時間もかかったことがあった)。長時間搭乗は、運良く窓際に座れば生涯一度の絶景を堪能することもできるが、両側を乗客にはさまれた真ん中の座席に割り当てられた時などは、どう過ごしても意義ある「いま、ここ」は実現できないように思う。それでもなお飛行機に乗るのは、旅行先での楽しみが待っているからにほかならない。

不定期ながら、次回に続く。