じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・南福利施設(ピーチユニオン)から眺める東西通り。すでにケヤキの紅葉・黄葉が始まっている。

2015年09月28日(月)


【思ったこと】
150928(月)100分 de 名著:ダーウィン『種の起源』(3)

 昨日の続き。

 放送第3回“「不都合な真実」から目をそらさない”では、ダーウィンの科学者としての優れた点が指摘されていた。ダーウィンは、自説に都合の良いデータばかりを寄せ集めるのではなく、不都合なデータについても1つ1つ検証した。そして、現に批判されている点に答えるばかりでなく、今後提出されるであろうさまざまな反論をも想定し、予め、その答えを周到に用意しているのであった。

 番組で紹介されていたのは、
  1. 「進化の途上にある中間的な種やその化石が発見されないのはなぜか?」
  2. 「眼のような精緻な構造が果たして進化だけで生まれるのか?」
  3. 「世界中で同じ種が同時多発的に生まれるのはなぜか?」
という3点。

 まず1.については、そもそも生物が化石になるというのは、死体が水中に沈む、骨の成分がミネラルに置き換わる、地殻変動で地表に上がりさらに露出するという奇蹟のようなものであり、中間種が存在しないことはそれほど不思議ではないというように説明された。伊集院さんがジャイアンツの歴代監督の喩えを出していたが、確かに、長嶋監督と原監督の間の監督というのは記憶に残りにくい。隆盛をきわめた種のほうが圧倒的に高い確率で化石になり、中間種が化石になる確率は相対的にきわめて小さいということは言えると思う。

 2.についても、最も精巧な目だけでなく、プラナリアのような明暗のみを区別できる目を含めて検討すれば、進化のプロセスにうまく乗っていることが分かる。放送で紹介された、蜂の巣はなぜ六角形になったのかという事例も、巣を作り上げるさいの簡便性を考慮すればそれほど不思議でないことに気づく。

 3.に関しては、植物の種や鳥であれば大陸間を簡単に移動できること、さらに、ほ乳類の場合は氷河期の移動(ちなみに、ウェーゲナーが大陸移動説を唱えたのは『種の起源』から50年以上のち)で説明できる。この3.に関しては、ダーウィンは、種を長期間海水につけても発芽すること、鳥のお腹に入っても運ばれることなどについて実験をしているという。ダーウィンが観察や推論だけでなく、実験という手段を活用していたというのは知らなかった。

 ダーウィンの進化論についてはまだまだツッコミどころがたくさんあり、カルト宗教信者たちはいろいろと屁理屈をこねて自派の教義を固執し続けるだろうが、重要な点は、批判とそれに対する反論がより建設的な方向に展開していくべきであること、「存在は必然性なしに増加されてはならない」という、オッカムの剃刀でそぎ落としていく姿勢が大切ではないかと思う。

 次回に続く。