じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 8月19日の岡山は、午前中から小雨が降っており、午後にはアスファルトの道路に水たまりができていたが、気象庁の記録では、16時台までの1時間ごとの降水量は0.0ミリとなっていた。なお、この日の最高気温は27.7℃どまり。最高気温が28℃以下となったのは、7月22日以来、約1カ月ぶりであった。

2015年08月19日(水)


【思ったこと】
150819(水)『嫌われる勇気』(39)叱ってはいけない、ほめてもいけない(6)付加的弱化の限界

 本書では、ほめることと併せて「叱る」ことも否定されているが、その理由については、「体罰はもってのほかですし、叱ることも認めません」と書かれている【197頁】程度にとどまっている。これはおそらく、いまの日本では「叱って育てる」のはよろしくないという考えが主流になっていてわざわざ否定するまでもない、それよりも、一般に広く受け入れられている「ほめて育てる」に重点を置いて、「ほめるのはなぜよくないか」という意外性を強調したためではないかと思われる。

 しかし、叱るのがなぜよくないのか、あるいは、時と場合によっては叱ることもアリなのか、といった問題について、しっかりと考えておく必要があるようにも思う。

 「叱る」の一形態の体罰については、日本行動分析学会も反対声明を出している。但し、その理由は、単なる倫理的によろしくないという理由ではない。また、声明文ではもっぱら「正の弱化」つまり「嫌子出現の随伴性による弱化」を否定しており、それ以外の手段については、それを行使しなければならない場合の必要条件などを詳しく解説している。単に、人間関係上の縦横関係をどうするということではなく、当事者(問題行動を発している当人)本位で、適切な対策を考えていく必要がある。

 私自身が特に強調したいのは、

●問題行動が頻発しているとしたら、それは、その行動が何らかの形で強化されているからだ。
という点である。このような場合に、罰的統制、つまり「嫌子出現による弱化」を強行すれば、いったんは問題行動は減るように見える。しかし、問題行動を強化していた本質的な原因は何ら取り除いていないため、罰的統制を終了したり、罰的統制が及ばないところでは、問題行動が復活してしまう。

 よって、問題行動は、
  1. 当該の行動が強化されないようにする(=消去する)
  2. 当該の行動と競合するような(問題行動ではないような)別の行動を強化する
といった対策をとらない限りは本質的には解決しない。例えば、街角の壁に落書きをするというような行動は、巡視を増やして罰的に統制しようとしても限界がある。それは、落書き自体が、「人目をひく」、「自分の芸術的価値の高い作品をアピール」といった結果によって強化されているからである。それを無くすには、
  1. 落書きしてもすぐに消し去ることのできるような材質の壁にする。あるいは、落書きされてから数時間以内に消し去る。
  2. 街角の特定の場所に、落書きできるような壁を設置し、芸術的に価値の高い落書を表彰する

といった対策をとることが有効であろう。じっさい、そのような対策をとっている自治体もあると聞いている。

 不定期ながら次回に続く。