じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 今年は梅雨前線がしっかり活動しているため、キノコの当たり年になっているようだ。写真は芝地に出現した2種類のキノコ。写真左はキクメタケと推定される。写真右は、「ヤブレベニタケ」または「ケショウハツ」ではないかと推定しているが未確認。こちらに掲載したように、1つ1つ個性的な形をしている。

2015年07月08日(水)


【思ったこと】
150708(水)『嫌われる勇気』(10)性格とライフスタイル

 昨日の日記の続き。

 本書第一夜(第一章)の最後のあたりでは「ライフスタイル」という概念が論じされていた。本書によれば、アドラー心理学では、性格や気質のことは「ライフスタイル」という言葉で説明されるという【48頁】。ライフスタイルとは「世界や自分をどう見ているか」という意味づけのあり方を集約した概念であり、性格のほか、世界観や人生観までを含んでいる【48-49頁】。この概念を使うと、「わたしは悲観的な性格だ」と思い悩んでいる人は、じつは「わたしは悲観的な“世界観”を持っていると置き換えられる。また、そうした世界観は自ら選んだものであり、自分で選んだものである以上、選び直しが可能であると考えられる【50頁】。自分を変えようと思う人は、まずは「いまのライフスタイルをやめる」と決心することが肝要であるという【54頁】。

 もっとも、上述の議論に参加するためには、まずは素朴概念や固定観念に囚われず、「性格や気質」についてしっかりと定義しておく必要があると思う。そのさいに重要なポイントは、
  1. 「性格」や「気質」は、素朴に考えられているほど一貫していないし、通状況的ではない。また、一人称的視点、二人称的視点、三人称的視点によって異なる。
  2. 個体差の大部分は、関心空間の違い、身につけているスキルの違い、確立操作の違い、弁別刺激の違い、習得性好子や習得性嫌子の違いにとして説明できる。【2.については次回以降に後述】
 このうち1.については、渡邊芳之氏の『性格とはなんだったのか 心理学と日常概念』(新曜社、2010年)で詳しく論じられている。『嫌われている勇気』で言及されている「性格や気質」というのは「自ら選んだ」という記述からみて一人称的視点に立つものと思われる。それぞれの人称視点では
  • 一人称的視点 じぶんの行動がどんなに変化しても自己は同一
  • 二人称的視点 相手との関係は強力な状況要因(←通状況的ではない。家庭内、臨床場面、教育場面、...)
  • 三人称的視点 二人称的視点から構成された性格概念を三人称的視点から測定している(119頁)
という特徴がある。本書で論じられている「性格や気質」は、「人は変わる、変わらない」という議論以前に、自己の同一性や一貫性が過度に反映している可能性があるように思う。

 ちなみに、上述の渡邊氏はサトウタツヤ氏とともに

あなたはなぜ変われないのか ─性格は「モード」で変わる 心理学のかしこい使い方 【ちくま文庫、本体780円+税。刊行日: 2011/11/09、ISBN:978-4-480-42877-6】

という本を刊行されている。『嫌われる勇気』で論じられていた「人は変われないのか」がタイトルになっている点が興味深い。併せて読むことをオススメしたい。

 いずれにせよ、人は、自分が思っているほどには一貫していない。確固とした人生観や世界観を形成しているわけでもない。まず自らの手でライフスタイルを選択し、それに基づいて日々の行動を実践している人というのは稀有であり、多くの人は、普段はそんなものは持たずに、状況文脈に依存して、その中で強化、弱化されながら暮らしているように思う。

 不定期ながら次回に続く。