じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



06月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 岡大西門・西側花壇の近況。
  • 写真左の「おしゃれ鉄砲百合」は残り2輪となった。6月9日頃から咲き始めたので花期はおおむね2週間。
  • 写真左奥のタチアオイ。花茎の株から開花し、てっぺんに至るまで咲き続ける。久米南町の花菖蒲園を管理していたおばあさんの話では、タチアオイのてっぺんの花が終わる頃、梅雨明けになるという。
  • 写真右:オミナエシの黄色い花が咲き始めている。
  • 写真右:テンニンギクに紛れて目立たないが、赤花のヘメロカリスが見頃となっている。

2015年06月22日(月)


【思ったこと】
150622(月)NHK 100分 de 名著43「荘子」(12) 吾始乎故,長乎性,成乎命

 6月18日の続き。

 放送第3回では、さらに、激流に逆らわない泳ぎの達人の話が紹介された【達生第八】。ネットで検索したところ、こちらに原文と英訳が掲載されていた。
孔子觀於呂梁,縣水三十仞,流沫四十里,■▲魚◆之所不能游也。見一丈夫游之,以為有苦而欲死也,使弟子並流而拯之。數百◇而出,被髮行歌而游於塘下。孔子從而問焉,曰:「吾以子為鬼,察子則人也。請問蹈水有道乎?」曰:「亡,吾無道。吾始乎故,長乎性,成乎命。與齊△入,與★偕出,從水之道而不為私焉。此吾所以蹈之也。」孔子曰:「何謂始乎故,長乎性,成乎命?」曰:「吾生於陵而安於陵,故也;長於水而安於水,性也;不知吾所以然而然,命也。
■上は元、下は亀の旧字体の一部、▲上は單に似た字、下は亀の旧字体の一部、◆上は幣の上部、下は亀の旧字体に似た字、◇歩の少の部分から右の「、」を取った字、△倶の旧字体、★さんずいに日。
 確かに、自然の大きな流れの前では、一人の人間の行動が及ぶ範囲は限られている。もちろん人間や動物は、オペラント行動を通じて環境に働きかけ、環境を少しだけ「加工」して適応する力を持っているが、環境全体を作りかえることはできない。むしろ、流れと一体となって、その中で持ち前を発揮することに力を注いだほうが良いということなのだろう。

 ちなみに、私自身は泳ぎは得意ではないが、仰向けの状態で長時間水に浮かぶことができるという特技?を持っている【こんな感じ】。そのさいのコツは、とにかく水と一体になり自然体で静止することだ。なまじ、浮かぼうとしてもがいたりするとかえって体の一部が沈んでしまい、慌てて、手足をばたつかせないと水を飲んでしまう。無理に浮かぼうとせず、何も考えずに仰向けの姿勢を保てば自然に足の先のほうが水面まで上がってきて安定した状態を持続させることができる。

 上記引用文中の「吾始乎故,長乎性,成乎命(吾れ故に始まり、性に長じ、命に成る)」について、番組では、
  • 故:生まれつきの下地
  • 性:無意識の領域=もちまえ。習慣化して身につける。
  • 命:さからえない流れ
であり、例えば、猫を例に挙げれば、猫が背伸びをして凝りをとったり顔を洗うのは生まれつきの「故」に属するが、ネズミを獲るスキルは「性」であり、親から習わないと身につかない。人間は習慣によって身につく「もちまえ」が多いため、生きるのが大変だというお話であった。

 猫の例や、「新たに習慣化したものを“もちまえ”にしてもいい」というお話を私なりに勝手に解釈すると、
  • 故:遺伝的要因、生得性好子や生得性嫌子、生得的に自発できるような行動レパートリー。
  • 性:習得性好子や習得性嫌子。レスポンデント行動における条件反応、オペラント条件づけによって形成された行動一般、行動連鎖。複合的な行動の連携。
  • 命:個人の力では変えられないような大きな枠組みの随伴性。大自然の力など。
ということになるかと思う。これでよければ、「吾始乎故,長乎性,成乎命(吾れ故に始まり、性に長じ、命に成る)」というのは、まずは生まれつきの素質や能力を踏まえた上で、レスポンデント条件づけやオペラント条件づけを通じて持ち前を形成・発揮し、大きな流れと一体となって生きていくと解釈できる。

 もっとも、ネットで検索したところ、「吾始乎故,長乎性,成乎命」については「己の性、道の性、天の性を尽くして生きる」という解釈もあった。「道」については放送第4回で詳しく取り上げられていたので、次回以降に考えてみることにしたい。

 不定期ながら次回に続く。