じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 生協食堂に「鹿児島鶏飯」というメニューがあったので「とりめしください」と注文したが、うまく通じなかった。メニュー写真を見ると確かに「こちらは『けいはん』と読みます。オーダーミスがないように正しくお読みください。」という注意書きがあった。

 奄美大島には一度も旅行したことがないので、「けいはん」という料理が存在することは全く知らなかった。写真右はSサイズ(税込み388円)で普通のお茶漬けのようみ見えるがなかなか美味であった。

2015年06月19日(金)


【思ったこと】
150619(金)「イエロー・ハンカチーフ」と比較して改めて印象づけられる「幸福の黄色いハンカチ」の魅力

 金曜日夕刻にBSジャパンで放送された、

イエロー・ハンカチーフ(2008年アメリカ)

を録画再生で視た。「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)のリメイク版としてこういう映画があることは知っていたが、今回初めて観ることができた。

 ウィキペディアにも記されている通り、映画の舞台はアメリカに置き換えられており、細かい点では相違があるが、
前科者、イケてない若者、自信の無い女との車道中、出所後のビール、若者のレイプ未遂、無免許運転での逮捕、警察署にレバーフライ(日本版ではレバニラ定食)の配達、人情味ある警官(演:グローヴァー・コールソン)の恩情、前科者妻の流産を原因とした収監、若者と女の和合、大量のハンカチーフを張り夫の帰りを待つ妻など、基本的なフォーマットはかなり細かく日本版の流れに沿っている。
と記されている通り、ストーリーの展開はそっくりであった。「2007年、米国版のプロデューサーのアーサー・コーンが来日し、山田洋次監督と会談した。」とあるので、パクリではなく、それなりの合意のもとにリメイクされたようである【未確認】。

 もっとも、リメイク版は、製作費$15,500,000に対して、7館で限定公開された最初の週末の興行収入$37,000に過ぎず、トータルの興行収入も$318,623にとどまり大失敗に終わったようだ。理由として「不自然な設定や地域色に頼り過ぎる」、「ハートが演じるブレット(「幸福の黄色いハンカチ」の島勇作)はどこか洗練されていて、本物の労働者には見えない。」、「イギリス人俳優のエディ・レッドメインがアメリカ先住民の血筋を引く役(「幸福の黄色いハンカチ」の花田欽也)を演じたことの不自然さ」などの批判があったようである。今回実際に観た限りでも、1977年の日本オリジナル版のような感動は起こらなかった。

 リメイク版でそれほど感動しなかった原因は、リメイクそれ自体にあるわけではないと思う。例えば、「シャーロックホームズ」、「ロミオとジュリエット」、「忠臣蔵」、「新選組」などの映画やドラマは、いろいろな俳優によって何度も演じられているが、旧作品よりも新しい作品のほうが印象に残ることはしばしばあるし、シャーロックホームズの場合などはむしろ、異なる俳優が演じる別々の作品にそれぞれの魅力があるように思う。

 というように考えてみると、リメイク版だから魅力が半減するわけではない。1977年の「幸福の黄色いハンカチ」には、リメイク版には到底及ばないさまざまな魅力があると言わざるを得ないように思う。

 そう言えば、6月1日にBS朝日で、

高倉健を旅する「幸福の黄色いハンカチ」「八甲田山」〜忘れがたき名作の舞台を訪ねて(出演:前田吟、池上季実子)

という番組が放送され、制作時のさまざまなエピソードが紹介されていた。例えば、高倉健演じる島勇作が、出所後初めてコップにつがれたビールを飲み、かつ丼とラーメンをむさぼるように食べるシーンがあるが、ビールの飲み方1つとっても迫真の演技があり、また、高倉健さんは2日間何も食べずにこの撮影に臨んだという。リメイク版の「イエロー・ハンカチーフ」のほうでは「食事情の違いから、前科者が出所後に貪り食べるシーンが無い。」(ウィキペディア)というが、このシーンの有無1つとっても、「幸福の黄色いハンカチ」の卓越した点が分かる。

 このほか、「幸福の黄色いハンカチ」では
  • 武田鉄矢と桃井かおりの個性的な演技の魅力
  • 若者が暮らしていた大都会と、北海道の大自然との対比
  • 夕張での炭鉱労働者の生活ぶり
  • ラストシーンに近づく時の盛り上がりと青空にはためく黄色いハンカチーフ
といった点が魅力であったが、リメイク版と対比することで改めてその巧みさが印象づけられた。

ということで、リメイク版それ自体は、映画の作品としてそれほど高くは評価できないが、「幸福の黄色いハンカチ」の卓越した点を知るための比較ツールとして、観る価値は十分にあると思った。