じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2014年12月25日の日記に記したように、津島東キャンパス・大学会館の南側にある石庭は、職員ボランティアの手で砂紋が引かれていた。ところが、今年の4月以降は、その形跡がなく、かつての荒れ放題と同様、足跡だらけに戻ってしまった。ボランティア職員の方に異動があったのだろうか。このまま変化が無いようであれば、関係部局に問い合わせてみようと思う。




2015年04月13日(月)


【思ったこと】

ミヤマオウムの賢さと利他的行動

 4月13日の20時から放送されていた、

NHK-BSプレミアム「ワイルドライフ▽ニュージーランド山岳地帯 いたずらオウム 驚きの知恵に迫る【リンク先URLは、放送終了後の予想】」を視た。

 人里でのいたずらぶりや、利他的行動のデモ実験が紹介されていたが、いずれも信じられないほどの賢さであった。

 前半では、人間が持ち込んだオコジョやフクロギツネからミヤマオウムを保護するために仕掛けられた罠が何者かによって妨害されるという「事件」が興味をひいた。バネ式の罠に木の枝がさし込まれて無効化されていたほか、犯人捜しのために設置した自動撮影カメラまでが勝手に外され、カメラの電池やメモリーカードが抜き取られるという事件が起こったのである。素朴に考えれば、オコジョやフクロギツネを守ろうとする動物愛護関係者が犯人であろうと思ってしまうが、なっなんと、好奇心旺盛なミヤマオウム自身がわざわざ木の枝をさし込んだり、カメラのふたをあけてメモリーカードを引き抜いたりしていたというから驚きである。

 日本でも自転車の籠からポリ袋をくわえ出して食べ物をあさるカラスがいるが、単なる好奇心の延長でカメラまで分解してしまうというのは信じられない。

 続いて、棒を器用にくわえて、狭い箱の中のナッツを取り出すというデモ実験が紹介された。これは、まさに、チンパンジーの道具使用に匹敵するすご技だった。

 番組の終わりのほうでは、利他的行動の証拠?となるデモ実験が紹介された。番組では「最近面白い発見がありました」と紹介されていたが、実際には1996年刊行の

Tebbich, S., Taborsky, M., & Winkler, H. (1996). Social manipulation causes cooperation in keas. Animal Behaviour, 52, 1-10.

という論文であり、こちらから閲覧できることが分かった。餌箱のレバーを押すと餌箱のふたが開いて中の餌が食べられるという仕掛けであるが、レバーを押す個体は決して餌を食べることができない。つまり、レバー押しは他者を利する行動であるというわけだ。にも関わらず、ミヤマオウムたちは交代でレバーを押して、お互いに餌を獲得している。さらに興味深いのは、(飼育環境ではあるが)ミヤマオウム各個体には優先順位があって、順位が低い個体のほうが、順位の低い個体のほうが高い個体のためにレバーを押すこと、但し、この順位は一定の「すくみ関係」があって、けっきょく、群れの全員が食べ物を手に入れられる関係になっていたというのであった。

 この種の「利他的行動」は、細かく分析すると、個体レベルの行動随伴性で説明できてしまうことが少なくないと思うが、どのような理論が正しいにせよ、これだけのことをやり遂げるのはとにかくスゴイと思った。