じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 東日本大震災から4年目となった3月11日の14時46分、岡大構内ではサイレンが鳴らされ、私も、2階の渡り廊下に出て、東北地方の方角に向かって黙祷を捧げた。写真上はサイレンが鳴る直前の時計台、写真下は4年前の夕方の時計台【2011年3月11日の再掲。】



2015年03月11日(水)



【思ったこと】
150311(水)NISAはお得か?

 各種報道によれば、金融庁は3月10日、2014年1月に始まったNISAの開設・利用状況に関する調査結果を発表した。昨年末時点の速報値で、口座開設数は824万件、購入総額は2兆9797億円。同年6月末時点に比べ口座数は13%、購入総額は91%それぞれ増えた。とはいえ、政府が目標としている「始動から7年間、20年までの投資総額の目標を25兆円」の増加ペースには届いていない。 ということで、NISAが一定の効果をもたらしたものの、まだまだ目標には届いていない現状にあるようだ。

 ネットニュースを検索したところ、産経ニュースでは、

鳴り物入り「NISA」5割超が“休眠”の悲惨 もがく証券業界

という見出しの記事があった。

 NISAに関しては、以前次のような話題を取り上げたことがあった。
  1. 2013年10月3日NISAの「賢い」活用法への疑問
  2. 2014年12月12日NISAを使わなくても非課税?
 このうち、2.についてはまだ不明な点があるが、株式や投資信託で年間20万円程度の利益を得るためには、仮に年率3%程度としても、600万円以上の余剰資金が必要。逆に言えば、100万円や200万円程度の資金を運用する給与所得者であれば、わざわざNISA開設の手続などしなくても、実質的に非課税になるのではないかと思われる。【但し、住民税は要申告となっている。】
年末調整により所得税の納税を完了している給与所得者で、給与所得や退職所得以外の所得が、「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」の譲渡益を含めて 20万円以下のケース(住民税は要申告)


 とにもかくにも、中程度以上のリスク・リターンを狙う株式や投資信託というのは、下がった時に買い、上がった時に売ることを繰り返すことで初めて利益が出るものである。放っておいて右肩上がりに増えていくというようなものではない。ところが、NISAというのは、途中で売ってしまうとその枠は二度と使えない。けっきょく、一番値上がりした時に売り損ねて、5年後には元に戻ってしまったということにもなりかねない。

 さらに困るのは、値下がりした時の対処である。こちらに説明されているように、NISAは「損益通算は不可」となっているため、
「今は期間終了時に損していたら対処のしようがないんです。例えば100万円が、相場の下落で80万円に減ったとする。それをNISAではない口座で運用して元の100万円に戻しても、その20万円分は課税対象になってしまう」
というデメリットがある。

 NISAの実質的な利用をもっと増やすというのであれば、まずは、何度売買しても、非課税枠が一定に保たれること、損益通算を可能にすることが必要ではないか。あるいは、NISAなどという面倒な制度は廃止して、単に特定口座の中での税率を、一定範囲で軽減するほうがよい、という気もする。