じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2月3日早朝の月の入り(月齢13.3)と木星。2月4日には5°13′まで接近する。



2015年02月2日(月)


【思ったこと】
150202(月)絵画と視野のかたち

 某所で、絵画はなぜ長方形が多いのかということが話題になった。もちろん、実際の絵画としては、古代の壁画、岩絵、壺に描かれた絵、天井画などもあり、また、日本では扇子や羽子板の上に描かれた絵もあるので、すべてが長方形というわけではないが、やはり長方形の絵が圧倒的に多いことは確かである。
 その理由として素朴には、
  • 絵画は壁に飾られることが多いため、柱や梁(はり)に合わせて長方形になった
  • 素材の紙、画布、板などが長方形で分割されるため(長方形以外では切断方法に手間がかかったり、端切れが出てムダになったりする)
などが考えられるが、私はこれに加えて、人間の視野のかたちが影響しているのではないかと考える。

 もっとも、人間の目は水晶体から網膜に達した映像が基になっていることからみて、本来、人間の視野は円形になっているはずである。とはいえ、ふつう、我々は景色を円形ではなく長方形に見てしまう。円形に見えるのは望遠鏡を覗いた景色に限られており、また円形に描かれた絵というのは、望遠鏡や虫眼鏡、あるいは小さな穴から覗いた景色のように見えてしまい、視野が制限されているように感じてしまう。

 また、写真を撮る場合、カメラのレンズは円形であることから、本来は写真の形は円形になるはずである。しかし実際には、フィルムやデジカメの撮影素子の形状に合わせて長方形に切り取られてしまう。にも関わらず、長方形の写真に比べると、円形の写真は、周辺をわざと切り取ったという印象を受けてしまう。

 長方形のほうが広く見えて円形のほうは周辺が切り取られたように見えてしまうのはなぜか?という問題は、おそらく、3次元空間に暮らす我々が、上下左右前後という3次元の軸の中で、空間を長方形型に切り取って、その中から必要な情報を収集していることに関連しているのではないかと思われる。つまり、視野そのものは本当は長方形ではない。というか、視野の形を調べようとしても、我々は、原理的に言って視野の外を見ることは決してできない。無理に見ようとすると眼球自体が動いてしまうので、またまた別の景色が見えてしまって、結局、360°回転してしまうことになる。

 ということで、視野のかたちというのは長方形でも円形でもなく、強いて言えば球体の内側の一部のようなものだと思われる。しかし、それをどのように切り取るかという時には、眼球運動や、首の運動、さらに、体全体の向きや移動が影響してくる。その移動の基本は、上下左右の動きであるゆえ、けっきょく、切り取られた画像というのは、一定幅で区切られた長方形になってしまうのではないだろうか。