じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 時計台近くにあるナンキンハゼの紅葉。昨年の写真がこちら(中段)にある。今年のほうが10日ほど早い。


2014年10月26日(日)



【小さな話題】

グレートトラバース、偉業達成

 日本百名山ひと筆書き(グレートトラバースに挑戦していた田中陽希さんが10月26日、100座目の利尻山登頂に成功し、昼前に麓のゴール地点に到達された。ツイッター速報によると、屋久島スタートから208日と11時間。途中、故障もあったりして心配されたが偉業を達成することができて、まことにめでたい、めでたい。

 気象情報などによると、27日には利尻島付近を寒冷前線が通過し、大陸から真冬並みの寒気が到来、北海道では平地でも雪が降ると予報されている。田中さんだったら真冬の利尻山でも楽々登れるのかもしれないが、とにかく、気象条件のよいうちに達成できてよかったよかった。




若い世代ほど物価上昇予想が少ない?

 10月27日朝のモーサテで「2%物価目標達成にはミクロな政策が必要」という興味深い話題が取り上げられていた。

 まず、現状としては、アベノミクス以降、消費税増税分を除くと上昇幅は1%をやや下回っており、一定の成果があったとも言えるし、十分ではないという批判的に捉えることもできる。2%目標自体の是非はともかく、現状では部分的な効果に限られており、今後どのような政策が必要かという建設的な議論を進めることが重要であるようだ。

 そんななか、今年3月時点で物価上昇を予想した人の割合が世代別で大きく異なっているという興味深いデータが示されていた【出典は東大・渡辺研究室】。物価上昇を予想した人の割合は全体では75%前後であるが、若い人ほどその割合は低く、29歳以下では61%前後にとどまっている。いっぽう60歳以上では82%前後で最も高い比率になっているという。この一因は、かつての狂乱物価(1973〜1974年)を体験したかどうかの違い、また、自分自身の財布で購入する品目の違いなどを反映しているようにも思う。

 もう1つ、これは以前にも渡辺先生ご出演の時に、示されたデータであるが、品目別の物価上昇率の分布(2014年3月時点、アメリカは前年比1.5%上昇、日本は1.3%上昇)を見ると、アメリカの場合は、2〜3%上昇のあたりをピークとしてほぼ山形の分布になっているのに対して、日本の場合は、マイナス1%〜0%のあたりにモードがあり、上昇している品目には1%〜11%の範囲でかなりのバラツキがあることが見て取れる。平均値としては物価が上がっているといっても、かなりの品目は殆ど変わっていないか、むしろ僅かながら下がっているとも言えそうだ。

 経済には全く素人の私であるが、なるほど、物価という現象もこういうふうに多面的に捉えると別の見方が出てくるものだと納得した。

 私個人としては、近い将来、年金生活に入ることもあって、物価はなるべく上がらないか、逆に下がっていったほうがありがたい。もっとも、財政健全化なくしては年金収入にも不安が出てくる。しかし、製造分野での物価がどうなるにせよ、最後は、人が他者のためにどれだけのサービスを提供するのか、そのサービスの対価としてどれだけの賃金が支払われるのかが重要になってくる。医療や福祉はもちろん、一般の公共交通や物流などにおいて、人件費がどれだけかかるのか、それが物価にどう反映するのかがカギであり、そのためには、特定の職種が人材不足に陥らないための保障制度の充実、また、有料サービスだけに依存しないような互助互酬の仕組みをしっかり確立しておくことも必要ではないかと思う。