じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 このWeb日記や4トラベルにギリシャ旅行のアルバムを掲載しているところであるが、一番迷ったのは、国名を「ギリシャ」とするか「ギリシア」と表記するのかであった。
 この旅行に出発する前に、職場に私事渡航の届け出を出す時にも、最初は「ギリシア」と書いてから線を引いて「ギリシャ」に訂正。しかし、その後購入した「地球の歩き方」が「ギリシア」と表記され、また、同僚の西洋史の専門家から「学界ではギリシアが公式だ」と教わったことから「ギリシア」に再び変更した。ところが、外務省では公式にはギリシャと表記されており、4トラベルでも「ギリシャ」になっていることから、最終的には、「ギリシャ」で統一することに決定した。

 その後ネットで検索したところ、ウィキペディアに、
ギリシャとギリシアの表記法について、日本語ではen:Greekの表記が「ギリシャ」と「ギリシア」で揺れています。国名としては「ギリシャ共和国」とすることが多いようですが、西洋古典学・歴史学・哲学などは「ギリシア」と表記する慣行を取っている そうです。それは西洋古典学でia を「イア」と書くという習慣があり、哲学分野でもほぼ同様であるからだとか。
という記述があり、大ざっぱに、
  • 人文系は原則として「ギリシア」とする。
  • 現代の国名はとりあえず「ギリシャ(ギリシャ共和国)」のまま。
と提案されていることが分かった。なので、私のアルバムでも、旅行国は「ギリシャ」と表記し、文明や遺跡に言及する時は「ギリシア」と表すことを原則にしたいと思う。



2014年8月21日(木)

【思ったこと】
140821(木)2014年版・高齢者の心と行動(3)

 今年度版の講演草稿の続き【以下、ですます体】

 スキナーによるHappinessの定義【昨日の日記参照】は、行動分析学の原理に基づいた主張ではありますが、十分なエビデンスがあるというわけではありません。「20世紀の傑出した心理学者がそう語った」といって権威づけしたところで、それだけで納得される方は少ないでしょう。繰り返しになりますが、「こうすればHappinessが得られる」などとまことしやかに主張するのはカルト宗教か悪徳宗教くらいのものです。ここでは、まずは、こういう考え方もあるんだ、と軽く受け止めていただいて、それがご自身や周囲の方々にプラスになれば採用していただく、という程度に考えていただければ結構かと存じます。

 さて、スキナーによるHappinessの定義ですが、私はさらに、

生きがいとは、能動的に行動し、それに見合った成果を達成している状態。【=能動主義的人生観】

というように言い換えることができるのではないかと考えています。

 もっとも、この言い換えを実のあるものにするためには、
  • どういう条件が揃った時に、「能動的」と言えるのか?
  • 行動に見合った「成果」とはどういう状態を示すのか?
を明確にしていく必要があります。

 また、特に高齢者の生きがいにあてはめた場合、
  1. 寝たきりの人でも能動的に行動することはできるのか?
  2. 癒やしのスペースで、何もせずにソファに寝そべって過ごすのはHappinessとは言えないのか?
  3. 「成果を達成」というのは成果主義のことなのか?
といった疑問が出てくるのではないかと思われます。

 そのいっぽう、特段のエビデンスをお示ししなくても、「能動的に行動し、それに見合った成果を達成」という状態が生きがいをもたらすであろうという点については、多くの方がそれぞれの個人体験を通じて、ある程度納得していただけるのではないかと思います。

 まず、受け身的にモノを受け取るというだけではHappinessは得られないことは素朴に実感できます。この考え方が当てはまる事例として、私はしばしば「ザリガニのエピソード」を挙げています。かつて近所で畑を借りていた時の個人体験です。
【私が】畑で草取りをしていたところ、隣の畑との間にある溝に、近所の小さい子がザリガニを釣りにきた。スルメを糸でくくって竹竿でつるした仕掛けだがなかなか釣れない。
しばらくして、隣の畑で農作業をしていたおじさんが、「ほれ大きいのを採ってやろうか、といって、水撒き用の柄杓で溝からザリガニをすくい上げた。ところが、その子、少々迷惑な顔をして、再びザリガニを釣り続けた。
要するに、その子どもにとっての生きがいは、自分で能動的にザリガニを釣ることにあったわけです。いくらザリガニをたくさん貰っても、自分の行動が伴ってなければ楽しみにはなりません。

 後述するように、同じような考え方は、高齢者のQOL にも応用できます。高齢者施設の利用者さんに、いくらモノを提供しても、それだけで満足して貰えることは決してありません。かなりの要介護であっても、利用者さんが自分で能動的に行動し、その成果を手に入れるというような環境を保障しませんと、QOL の向上にはつながりません。

 次に、いくら能動的に行動しても何の成果が得られない(=徒労)状態が続くと、大概の人は消耗し、ついには継続を中止してしまいます。行動分析学的に言えばこれは「消去」という事態であって、全く当たり前のことです。

 後述しますが、高齢となり、体力の衰えや様々な障がい、病気によって体が自由に動かなくなると、若い時と同じレベルで行動し、成果を得ることは困難になってきます。それを適切な範囲でサポートしていくことが高齢者ケアの基本となります。

次回に続く。