じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 一般教育棟構内・陸上競技場グラウンドに群生するハルシャギク。特定外来生物(植物)の代表格であるオオキンケイギクと同属であり、「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定されている。

 大学構内の空き地では定期的に草刈りが行われているが、グラウンドの中は機械が入りにくいため繁茂している。



2014年6月16日(月)

【思ったこと】
140616(月)長谷川版「行動分析学入門」第9回(6)好子出現の随伴性による強化(39)刺激弁別(6)手続的定義と制御変数的定義

 刺激弁別の話題をしめくくるにあたって、もう一度、第1章の1.6に述べた留意点を確認させていただきたいと思います。
  • 刺激は、それを提示する側から操作的に定義される。例えば、「10ワットの青色ランプを5 秒間点灯した」というのは、提示者(実験的行動分析であれば実験者)の操作としての定義である。提示された側は、もしかしたら目をつぶっているかもしれないが、実験手続上は「提示した」と記述される。これにより、「実験の再現性」が保たれるとされるが、目をつぶっているかどうかまでは再現できない。
  • 実験者が自分で勝手に決めた基準で刺激を分類して提示しても、提示された側は必ずしもその分類をそっくり受け止めてはいない可能性がある。ネズミが「二」と「十」という漢数字を区別できるようになったとしても、実は、それら漢数字の一部、つまり「二」の下部にある横棒「−」と「十」の下部にある縦棒「|」の特徴を区別していたのかもしれない。

 こんな例も考えられます。高さが1mにもなるような巨大な「●」印と「▲」印が、ゾウとカメに提示されたとします。ゾウは体が大きいので、おそらく図形の全体を眺められます。いっぽう、カメは、【実際にそのような視覚機能があるかどうかは別として】図形の下の部分、つまり、「●」と「▲」の下のほうだけしか見えない可能性があります。


 上記の例は、動物のからだの大きさの違いが反映しているとも言えますが、同じ種類の動物であっても、個体によって、手がかりにする刺激が異なるという場合があります。ここでは、レイノルズの実験の簡略版【論文に記されている実験手続とは異なります】として紹介させていただきます。
  • ハトを被験体とし、まず、緑色の三角形「」なら左のキー、赤色の円「」なら右のキーをつつくと餌が出るという訓練を行う。ハトは、これを完璧に学習。この場合、ハトたちは、色を手がかりにしても、形を手がかりにしても、いずれか1つを利用すれば正しく弁別できる。
  • 続いてハトに、赤と緑の三角形()、同じく赤と緑の円)、白黒の三角形と円()、赤と緑の四角形()などを提示。
  • すると、色を手がかりにしたハトと、形を手がかりにしたハトのいることが分かった。つまり、色を手がかりにしているハトは、形がどうあれ「緑なら左キー、赤なら右キー」という反応をしたが、色がついていないとうまく反応できない。いっぽう、形を手がかりにしていたハトは、色がどうあれ、「三角形なら左キー、円なら右キー」という反応をしたが、四角形が提示されるとうまく反応できない。
 以上のように、実験者が手続上、定義する刺激提示のことは「手続的定義」と呼ばれます。しかし、実際には、提示された刺激がそっくりそのまま行動に影響を及ぼしているわけではありません。行動に影響を及ぼしている部分(=制御変数)を同定した上で、提示した刺激を定義し直すことを「制御変数的定義」と言います。弁別学習を正確に分析するためには、最終的には「制御変数的定義」を明確にする必要があります。

 次回に続く。