じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 5月23日の16時10分頃、こちらの活動を遂行するために文学部中庭周辺を巡回したところ、街灯や車止めの柵の影が、東西方向に敷かれた舗装ブロックに沿ってほぼ東西に伸びていることに気づいた。要するに、太陽の光がちょうど真西から射し込んでいることの証拠である。この日の日没時刻は19時06分、日没の方位は296.0°であるが、太陽は真南のほうから右下方向に移動していくため、日没より3時間前にちょうど真西を通過するようである。この時刻は、夏至に向かって少しずつ早くなり、また、太陽の高度(仰角)が高くなるため、影の長さはしだいに短くなっていく。



2014年5月23日(金)

【思ったこと】
140523(金)長谷川版「行動分析学入門」第7回(10)好子出現の随伴性による強化(17)部分強化と強化スケジュール(4)定比率スケジュール

 日常生活に関係の深い強化スケジュールの1つに、「比率スケジュール(ratio schedule)」があります。これは、

行動の回数によって(量に応じて)好子を提示を定めたプログラム

であり、実験場面であれば例えば「レバーを10回押すごとにペレット餌が1粒提示される」というようなスケジュールです。

 日常場面であれば、
  • 職人さんが、作り上げた製品の個数に応じて代金を受け取る
  • 床屋さんが、お客1人あたり1080円で散髪する
  • 個人タクシーの運転手が、賃走の量に応じてその日の収入を得る
  • 子どもが夏休み、ドリルで勉強し、10枚仕上げるごとにご褒美シールをもらう。
  • 毎日ウォーキングして、1万歩を超えた日に○をつける。
などが比率スケジュールに相当します。ちなみに、上掲の例では、行動の量と受け取る好子の量は比例関係になっています。このように、固定された比率で好子が出現するようなスケジュールのことを「定比率スケジュール(Fixed Ratio Schedule、「FR」と略されることあり)」と呼びます。

 定比率スケジュールの特徴は、次の2点にあります。

 1つは、頑張れば頑張るほどたくさんの好子を受け取れるという点です。これは普通は良いことですが、働き過ぎ、頑張りすぎといった過労の原因にもなります。特に、低賃金のもとで出来高払いの雇用契約を結んだ場合、労働者は、少しでも収入を増やそうとして何時間も働き続けることになり、労働環境が悪化していきます。そのこともあって、現代社会では、一部の例外を除けば、産業労働は、出来高払いではなく、労働時間に応じて給料を支払う仕組みが導入されています。

 もう1つの特徴は、定比率強化スケジュールは、努力と達成の繰り返しであるという点です。何も行動しなければ何の結果も得られない、しかし、行動すればその量に応じて確実に成果が約束されるというのが定比率強化の原則です。子どもの時から、種々の定比率強化スケジュールで強化されてきた人はおそらく、新たな課題に対しても、地道に努力すれば必ず報われるはずだという姿勢でチャレンジしていくことでしょう。反面、このスケジュールには、やるべきことさえやれば結果が約束されている側面もあるため、創造や工夫を必要としないというデメリットも考えられます。大学の勉強にあてはめて言えば、定比率スケジュールで強化されやすい学生は、日々の出席や演習課題はきっちりこなしますが、自分でテーマを選んで創造的に取り組むような卒論課題を苦手とするかもしれません。


次回に続く。