じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大学構内で見かけたアオスジアゲハとアゲハ。岡大構内にはクスノキが多いため、アオスジアゲハは至る所で見られる。5月20日の楽天版にあるように、トベラの花にたくさん集まるが、今回は、イヌツゲ(たぶん)の花の蜜を吸っていた。いっぽう、アゲハが止まっているのはオリーブの枝。


2014年5月22日(木)

【思ったこと】
140522(木)長谷川版「行動分析学入門」第7回(9)好子出現の随伴性による強化(16)部分強化と強化スケジュール(3)

 昨日も述べたように、強化スケジュールを体系的にまとめた『Schedules of reinforcement』(Ferster & Skinner, 1957)は、刊行当初は、「この尨大な紙の量に比し,われわれの得る新しい情報はあまり多くない.・・・・・・[略]・・・・・・極端な場合には,1ページの左下から右上へギザギザの斜線が1〜2本走っているだけといったデータが少なからず混っている.」などという辛口の批評(吉田, 1958)も寄せられたりしました。しかし、体系的に分類された様々な強化スケジュールは、その後50年以上経った現在においても、実験的行動分析の基本的ツールとして活用され続けています()。
]  実験的行動分析に関する論文は「Journal of the Experimental Analysis of Behavior」という雑誌に掲載されていますが、この雑誌は、発刊当初の1958年から2012年まではPubMedから無料で閲覧できていました。しかし、その後、発行が民間業者に移行されたため、お金を払わないと見られなくなっています。
 この雑誌に限りませんが、電子ジャーナルの多くは一部の私企業によって独占的に管理されており、大学の図書館はそれらの業者に莫大な利用料を払って購読せざるをえない状況が続いています。2003年9月17日に指摘したことはまさに現実となり、国民の税金や授業料として集められたお金が、一部の寡占企業やその取り次ぎ業者の利益を潤しています。


 強化スケジュールは、1回ごとの行動をどのような確率で強化するか(ここでは、好子出現の随伴性のみを扱っていますので、「毎回の行動の直後にどのくらいの大きさの確率で好子を提示するのか」と同義になります)を定めたプログラム(手順書)のようなものです。これは、
  • 行動の回数によって確率を規定するプログラム→「比率スケジュール(ratio schedule)」
  • 時間経過によって確率を変動させるプログラム→「時隔スケジュール(interval schedule)」
に大別されます。


次回に続く。