じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 スミレと時計台。昨日とほぼ同じ場所で撮影。


2014年3月20日(木)

【思ったこと】
140320(木)コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン:平成22年度採択プロジェクト成果報告シンポジウム(10)セカンドライフの就労モデル開発研究(1)

 今回からは、4番目の成果報告:

セカンドライフの就労モデル開発研究 〜生きがい就労事業の開発と効果検証〜

についてのメモ・感想。

 リンク先にも記されている通り、このプロジェクトの目標は、
  1. セカンドライフの生き方に合った働き方で、住んでいる地域の課題解決に貢献する 「生きがい就労」事業モデルを創造し、持続的な事業運営を確立します
  2. 「生きがい就労事業」が高齢就労者の健康や生きがい感に与える効果、地域の人と人のつながり、経済・地域福祉財政にもたらす効果を検証します
となっていた。

 この「生きがい就労」の背景としては、まず、いまの高齢者は10年、20年前より「若返っている」というデータがある。じっさい、1992年と2002年を比較すると、歩行スピードは11歳若返っているという【長谷川の聞き取りのため未確認】。また、1日1回外出すると、歩行障害のリスクは1/4に、認知症リスクは1/3.5に減るとも言われている【いずれも長谷川の聞き取りのため未確認】。

 次に時代の要請として、介護予防の必要性がある。そのさい、つまづく、食べなくなるといった要介護直前のピンポイントの予防ではなく、もっと元気な時に、閉じこもらず出かけるというシステムをどう作るのかが課題となる。

 ということで、今回報告されている「生きがい就労」は、生計就労とは異なり、交流・趣味・場の創造につながるものであり、健康維持にも有効であると期待されている。

 「生きがい就労」の基本は、「無理なく、できる範囲で働く」、「地域貢献、趣味を活かす、人との関わりを求める」ということにあるという。このことに関連するが、今回の1番目の報告者もこちらの記事の中で、
...でも日本人は65歳でリタイアして、その後働きたくないという人はあまりいないんですよ。これは日本人の特性ですね。英語で「Labor」は労働ですが、実は出産のことも「Labor」と呼びます。つまり「Labor」は、人間がやらなければいけないけれどもつらいもの、「苦役」を意味しているんです。だから「Labor」から解放されることが「Retirement」です。
一方、日本では65歳で定年を迎えるというのは、苦役から解放されることではなくて、本人はもっと働きたいのに社会がもう年ですから止めてくださいということなのです。 もちろん働きたいという理由はいろいろで、経済的なことが一番多いですが、二番目は「健康のため」、三番目は「生きがい」なんです。この二番目と三番目の理由は外国ではあまり見られない。つまり日本は欧米と違って独自の文化を持ち、身体が動く限り仕事を持って働いていたい、週に2回くらい、5時間くらいでもいい、働いてわずかでもお金を稼いで、孫に何か買ってあげるなど、自分の生きがいのために働きたいという人はたくさんいるんです。
と語っておられる。もちろん、こうした労働観は、いまの後期高齢者、団塊世代、ポスト団塊世代などによって少しずつ変化し、おそらく、いずれは欧米と同様に、「生きがい就労」より「脱・就労」志向になっていくかもしれない。

 但し、行動分析学的に言えば、仕事そのものには苦役も生きがいもない。それが苦役となるのは、
  • 働く:平穏な生活維持
  • 働かない:平穏な生活が失われる(衣食住が維持できない)
という好子消失阻止の随伴性によってその行動が強化されているからに他ならない。同じ仕事であっても、
  • 働く:給料が貰える(その給料を趣味や交流のために交換できる)、他者から感謝される
  • 働かない:何も変わらない平穏な生活
という好子出現の随伴性で強化されていれば、楽しみになるはずである。これはおそらく、人間が、「何もしなくていい」という状態よりも「何かをすれば好子出現」という状態を志向するように進化してきたためであろう。

次回に続く。