じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 3月18日の夕食後散歩時に撮影した一般教育棟構内(津島東キャンパス)。月齢17.2(前日が満月)の丸い月と夜間照明により、木々が照らされていた。


2014年3月18日(火)

【思ったこと】
140318(火)コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン:平成22年度採択プロジェクト成果報告シンポジウム(8)ICTを活用した生活支援型コミュニティづくり(1)

 今回からは、3番目の報告:

ICTを活用した生活支援型コミュニティづくり

についてのメモ・感想。

 まず、いきなり余談だが、タイトルのICTは、IT用語辞典では以下のように説明されている。
ICTとは、情報処理および情報通信、つまり、コンピュータやネットワークに関連する諸分野における技術・産業・設備・サービスなどの総称である。IT(情報技術)のほぼ同義語。2000年代半ば以降、ITに替わる語として、主に総務省をはじめとする行政機関および公共事業などで用いられている。

ITもICTも共に、工学や情報科学といった学問領域にはじまり、事業としての研究開発、技術、インフラ、市場と産業、デバイス、サービス、コンテンツ、および、それらの総体としての情報化社会に至るまで、あらゆる要素を包含する。共に情報通信の分野全般を包括的に指す語であり、概念上とりたてて区別されることはあまりない。ICTとITとの目立った違いは表記の「C」の有無であるが、この「C」はコミュニケーション(communication)を意味する。ICTは通信・伝達・交流といった要素を明示した呼び名であるといえる。
この領域に関心のある者にとっては常識的であるが、まだまだ一般名詞化していないようで、今回のシンポでも、ICTをITCと言い間違えている方がおられた。なお、「ITC」は「東京大学情報基盤センター (Information Technology Center)」の略でもあるようだ。

 でもって、この報告で用いられたICT機器は、それほど大げさなものではなく、岩手県の山村でも普通に設置されているような固定電話、あるいは、緊急通信用の端末であった。このことに関してはフロアから、インターネットによる動画通信のような技術を活用してもよいのではというような発言もあったが、けっきょくのところ、ITというのはツールに過ぎず、それぞれの地域における人のニーズに合わせて活用されるべきだというお答えであった。

 さて、本題に移るが、この研究の背景には、高齢者の見守りのために導入された「緊急通報システム」があまり活用されていないということがあった。フィールドとされた岩手県内の地域は遠慮感が強く、体の不調があっても通報ボタンを押すことは少ない。けっきょく、見守り機器は神棚・仏壇に置かれたお守りになってしまう。そのいっぽう、独り暮らしのお年寄りがちゃんと動けているのかを感知するセンサー【例えばこちら】のようなシステムは、飼い猫が動いても、あるいはストーブの熱でも反応してしまったり、見守りの目的であるはずが見張りになってしまうといった弊害もあるという。

 発表者は、こうした緊急通報システムを、「能動的か受動的か」、「異常(緊急)通報か、平常通報か」という2次元4象限からなる以下のように分類をしておられた。
  1. 能動的&平常:おげんき発信
  2. 能動的&異常(緊急):緊急通報システム
  3. 受動的&異常(緊急):火災報知器
  4. 受動的&平常:消費・人感センサー

 これら4象限のうち、高齢者が遠慮がちになるのは2.のタイプである。いっぽう1.は、自分が元気であることを能動的に発信するので誰かが駆けつけてくることもない。しかも、ロボットが受信することで、深夜や早朝といった時間帯にも遠慮無く発信することができるという仕組みであった。

 利用者側からの発信はLモード電話機を使って「1.げんき 2.少しげんき 3.悪い 4.話したい」のいずれかを選択、発信する。これにより、(突然死は避けられないが)孤独死を防ぐことはできる。もちろんこれをサポートするためには24時間365日の受け入れ体制を整備する必要がある。

次回に続く。