じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 3月6日の岡山は真冬並みの寒さとなり、日中の最高気温は7.5℃までしか上がらず、一時、小雪が舞った。県北の人形峠ではリンク先の画像のとおりの積雪となり(3月6日17時現在の積雪137.6cm、道路施設付近の気温−2.6℃)、また、中国道の一部では、冬用タイヤ規制がしかれている。写真は、雪雲が押し寄せ、寒風吹き荒れる文学部中庭。


2014年3月6日(木)

【思ったこと】
140306(木)岡大の敷地内全面禁煙、いよいよ来月から(1)他大学の取り組み

 岡山大学敷地内禁煙が、いよいよ来月から実施されることになる。これをひかえて、過去1年間の活動をふりかえり、今後の対応について考えていくことにしたい。

 今回はまず、他大学の最近の取り組みについて、ネット経由で情報を集めてみた。こちらの情報【日本学校保健学会「タバコのない学校」推進プロジェクトの資料】によると、 敷地内禁煙を実施している全国の大学キャンパス・学部は、2000年度以前は6カ所にすぎなかったが、2003年度は23カ所、2010年度には185カ所、2013年度には240カ所と、着実に増えている。あくまでおおざっぱな把握だが、引用元のリストを概観すると、
  • まずは、東京神学大学、聖心女子大学、名古屋聖霊短期大学など、ミッション系や女子短期大学で導入。
  • 2003年度頃からは、秋田大学医学部(2003.7)、兵庫医科大学(2003.12)、金沢大学医学部(2004.1)、岡山大学医学部・歯学部(2004.4)というように、医学、保健系のキャンパスで部分導入。
  • 2005年頃からは、岐阜大学(2005.4.)、弘前大学(2008.4.)、岩手大学(2008.4)、香川大学(2009.4)、福島大学(2010.1) 鳥取大学(2010.10.)、立命館大学(2013.4)、岡山大学(2014.4.予定)というように、学部の違いによらず全敷地内を禁煙とする大学が増えてきた。
  • 2015年度以降に実施予定(目標または決定)の大学としては、関西大学(2016年を目標)、大阪大学(2016年4月実施決定)など。

といった流れがあるように思われた。

 もっとも、国立大学法人において敷地内全面禁煙を実施、もしくは近い将来の実施を決定している大学はまだまだ少数にとどまっている。ネットで検索したところ、こちらに、主な大学の禁煙実施状況についての詳細情報があり、その孫引きによれば、和歌山大学では
和歌山大の全面禁煙が頓挫 教授会で「研究に支障」(2004/4/2 共同通信ニュース)
 和歌山大(小田章学長)が4月1日から実施予定だった構内全面禁煙化が、教授会の理解が得られずに頓挫していたことが2日分かった。
 小田学長は昨年4月、来訪者も含めた全面禁煙化を打ち出し「愛煙家教職員や学生の理解を得たい」としていたが、3学部のうち2学部の教授会で「研究に支障が出る」「嗜好(しこう)品として吸いたい」「そこまで厳しくしなくても」などの異論が出て否決され、実施の見通しが立たなくなった。
 昨年末の教職員、学生を対象としたアンケートでは、6割以上が全面禁煙に賛成だったという。
 小田学長は「学生の健康を守る意味でも、間違った方針とは思わない。引き続き努力し、できるだけ早期に実現したい」と話している。
という形で頓挫したという。
 このほか、東京大学には敷地内禁煙の看板があるという情報があるいっぽう、東京大学環境安全本部の情報では、
  • 本部による喫煙場所の許可制の導入
  • 喫煙場所の定期点検の実施
  • 全喫煙場所に定員制の導入
  • 喫煙場所については公開いたしませんので、所属する部局の担当者にお問い合わせください。喫煙場所の利用は原則教職員学生となっております。関係者以外の喫煙はご遠慮願います。

となっていて、実質は、全面禁煙に至っていない模様である。

 以上の情報にもあるが、敷地内全面禁煙の決定は、学長のリーダーシップによるところが大きいようである。あくまで伝聞だが、岐阜大学では学長のご尽力がきわめて大きかったというし、わが岡山大学の場合も、学部や大学院の教授会で賛否を問われたことは一度も無い。

 こうしたトップダウンの決定には反発があるかもしれない。反面、最近では、大学法人は1つの事業場であり、労働安全衛生法の規定により衛生管理者を選任したり、衛生委員会を設置しなければならないという考え方が定着しつつある。この場合、大学敷地内を全面禁煙にするか、分煙とするかといった決定権限者は学長にあり、各学部・大学院の教授会の審議事項にはあたらないと考えることもできる。とはいえ、トップダウンだけで全面禁煙を決めただけでは、隠れ喫煙やポイ捨ては防止できない。ボトムアップ的に、敷地内喫煙の問題点について議論を深め、圧倒的多数の納得のもとで実現していくことが望ましいことは言うまでもない。

 次回に続く。