じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ベランダの同じ位置から眺める1月24日の日の入り(写真上)と25日の日の出(写真下)。南向きなので、日の出や日の入りの方位が東南東から西南西の範囲にある時はその両方を眺めることができる。但し、真西の方向にはビルがあるため、方位が右側にずれていくこれから先の季節はビルの屋上への日の入りとなる。


2014年1月25日(土)

【思ったこと】
14025(土)屋根部屋のプリンス(6)最終話を書き換える試み

 昨日の続き。

 ドラマを2倍、3倍に楽しむ方法の1つとして、

●もし、こういう展開になって、こんなシーンがあったらいいのに

というように、自分でシナリオの一部を書き換える試みがある。例えばサッドエンドのドラマを観た上で、もしこんなふうになっていたらハッピーエンドもありうるとか、もともとハッピーエンドであってもこんなふうに書き換えれば個人的にはもっと感動するだろうとか、いろいろと想像を膨らませてみることである。ドラマ鑑賞としては邪道かもしれないが、いったんそういう試みを経た上で再び原作に立ち返ってみれば、オリジナルの展開を多角的に見直すことができるようになるだろう。さらには、ハッピーエンドの展開を何通りにも想像していくなかで、自分の人生についてのナラティブをポジティブな方向に書き換えていけるようになるかもしれない。

 名作ドラマのシナリオを書き換える試みについては2006年1月27日の日記に記したことがあった。また、「冬ソナ」の最終話の書き換えやその後の展開を想像する試みについては、こちらを参照されたい。
 ということで、今回、「屋根プリ」の最終話のあたりを、自分なりに書き換えてみることにした。なおその前提として、恩返しとしてパク・ハの果物ジュース店をプレゼントするために3人の臣下が特技を発揮して資金を集めるという第19話のシーンはカットしておく。以下は20話冒頭からの書き換え。

(1)
 イ・ガクが消えてから数週間後、パク・ハは、イ・ガクのことを思い出しながら一人で王宮を訪れる。芙蓉池に近づいた時、パク・ハの目の前を金色の蝶が舞う。その蝶は芙蓉亭の土台の柱、イ・ガクが玉貫子を取り出した場所に止まって突然姿を消す。パク・ハはそこに手を入れ、竹の筒を見つける。以下、原作20話のシーンと同一。



(2)
 果物ジュース店でうつむき加減に働くパク・ハ。なかなか笑顔が戻らない。
 そんななか、ある日、ト・チサンそっくりの若者が店にやってくる。パク・ハはその姿を見て「チサン君、どうしてここに来られたの?」と叫ぶ。しかし、チサンはパク・ハのことを知らず、逆に「えっ、なんでボクの名前を知っているんですか。このお店には初めて来たのに。」と逆に驚く。同じチサンという名前であるが、あくまで、現代に生きる、ト・チサンの生まれ変わりだったのである。



(3)
 それからまた数日後の休業日、パク・ハが一人で町の中を歩いていると、広場で人だかりが。近寄ってみると、なっなんと、ソン・マンボとウ・ヨンスルそっくりの若者がチャリティ・サイン会をやっているところであった。「ソン・マンボそっくり」は新人脚本家として、「ウ・ヨンスルそっくり」は韓流ドラマの新人スターとして売り出し中であったのだ。パク・ハは行列に並んで2人のサインを貰う。しかし2人とも、パク・ハのことを全く知らない様子であった。
 パク・ハはつぶやく。「そうだったのね。チサン君、マンボ君、ヨンスル君が生まれ変わった人たちは、みんな今を生きているのね。だから私のことも知らないし、おそらく屋根部屋の記憶も無い...。




(4)
 数ヶ月後のある日、パク・ハのジュース店に突然『ホーム&ショッピング』の社長となっているピョ・テクスがやってきた。ホン・セナが服役することになり、チャン会長がセナに名義書換をしていた『ホーム&ショッピング』の株式はすべてパク・ハに譲渡されることになった、ついては、このジュース店を閉鎖し、『ホーム&ショッピング』の理事に就任してほしいという要請であった。
 パク・ハは自分にはそんな贅沢な生活は向いていない、株式はぜんぶ実母のチャン・ソンジュ会長に返して頂戴と断るが、ピョ・テクスの懇願により、店は閉鎖せず会社の理事会だけに出席するという条件のもとで理事就任を引き受けた。【「理事」ではなく「取締役」とすべきかと思うが、ドラマの中では「理事」という表記が使われていたのでこれに従う。




(5)
 しばらく経って、パク・ハは『ホーム&ショッピング』の理事会に初めて出席する。するとそこには、なんと、本物のヨン・テヨンの姿が!
 ヨン・テヨンはずっと意識不明の状態であったが、イ・ガクがあの2人だけの結婚式から消えた瞬間と同時刻に突然目を覚まし、その後は奇跡的に快復し、ピョ・テクス社長の支えもあって代表理事に就任したのだという。

 ピョ・テクス社長による紹介のもと、パク・ハはヨン・テヨンと挨拶を交わす。
パク・ハ:このたび、チャン・ソンジュ会長の後任として理事をつとめさせていただきますパク・ハと申します。もともと「インジュ」という名前でしたが、個人的な事情で、パク・ハに改名しました。どうぞよろしくお願いします。
ヨン・テヨン:代表理事のヨン・テヨンです。3年前までニューヨークに留学していたのですが、留学中に事故に遭い意識不明になっていました。その後、医者からもこんなことあり得ないと言われるほど奇跡的に快復したのですが、事故の直前の出来事は全然覚えていません。

 パク・ハはヨン・テヨンをじっと見つめて涙を流しそうになる。しかし、ヨン・テヨンは、パク・ハに会うのは初めてだという表情。


(6)
 『ホーム&ショッピング』の理事に就任して生活には困らなくなったあとも、パク・ハは毎日、果物ジュース店で仕事を続けている。そんななか、ある日、ヨン・テヨンが偶然に店を訪れる。
ヨン・テヨン:おや、理事のパク・ハさんじゃありませんか。お店を経営されているとは伺っていましたが、ここだったのですか。それじゃ林檎ジュースをください。
 パク・ハは林檎を取り出してジュースを作り始める。そのしぐさを見ていたヨン・テヨンは、3年前、ニューヨークの路上で自分に林檎をぶつけた女性がパク・ハと同一人物であったことに気づく。ヨン・テヨンは事故直前の記憶を完全に取り戻す。
ヨン・テヨン:パク・ハさん、3年前にニューヨークに居ましたよねっ! ドロボウめがけて投げつけた林檎がボクのおでこに命中したことを覚えてますか?

 うなずくパク・ハ。
ヨン・テヨン:そうだ、そのあと、ビヤホールのカウンターに絵はがきを言付けて、パク・ハさんをデートに誘ったのだった。だけど、事故で約束の場所に行かれなかった。ごめんなさい。決してすっぽかしたわけではないんです。お会いできるのを楽しみにしていたのに、事故に遭って、...こめんなさい。約束を守れなくて...。

パク・ハ:いえ、私のほうこそごめんなさい。あのあと急に、韓国に戻ってしまって、取り違えられたテヨンさんの携帯をお渡しすることさえできなくなりました。でも、じつはわたし、テヨンさんのことよく知っているんですよ。亡くなられたお祖母様(ヨ・ギルラム会長)ともお話ししたことがあるし、引っ越し屋のお仕事でテヨンさんのお部屋に入ったこともあるんです。

ヨン・テヨン:そうですか、ボクのことをそんなに知っているなんて恥ずかしいなあ。ぜひ話を聞きかせてください、どんなこと知っているのか...。ちょうど良かった、ではどうか、ニューヨークで約束を果たせなかったお詫びをさせてください。きょうの5時、ナムサン公園でどうでしょうか。

 うなずくパク・ハ



(7)
 ナムサン公園で会うパク・ハとヨン・テヨン。あとは、原作20話のラストとほぼ同一であるが、パク・ハとヨン・テヨンが手を取り合ったあと、
  • ヨン・テヨンが一瞬、世子の服を着たイ・ガクの幻に変身。イ・ガクは微笑む。
  • それを見上げるパク・ハ。すると一瞬、微笑んだプヨンの幻がパク・ハに重なる。
  • 再び、ヨン・テヨンとパク・ハが手を取り合うシーンに戻る。
ヨン・テヨン:僕たちって、3年前からの知り合いだったんですね。
パク・ハ:3年じゃないわ。300年が過ぎてもあなたを愛します。




 以上に書き換えてみた理由は以下の通り。
  • (1):原作では何の脈絡もなく、パク・ハが竹筒を探しに来ていた。カットシーンがあるのかと思ったが完全版でも竹筒探しをを裏付けるシーンは含まれていなかった。なので、ここでは、金色の蝶が場所を教えるという設定を追加。
  • (2)〜(3):原作では3人の臣下は朝鮮時代に帰ってしまっただけ。ここでは、それぞれの生まれ変わりが現代でも活躍しているが、パク・ハのことは知らないというシーンを追加し、パク・ハに、今を生きなければならないという現実を悟らせる。
  • (4)〜(5):『ホーム&ショッピング』のその後、チャン・ソンジュ会長からセナに譲渡された株式について、ちゃんとフォローしておく必要があるのでは?
  • (5)〜(6):原作ではヨン・テヨンが唐突にジュース店を訪れるが、もう少し前段があってもいいのでは?
  • (7):原作では、ヨン・テヨンがイ・ガクに変身してしまうラストになっているが、イ・ガクはあくまで300年前の時代に生きた人であって、再びタイムスリップで現代に現れることはできないと考えるべき。そうしないと、ヨン・テヨンの人生が消えてしまう。ということで、いくらハッピーエンドを望むとは言っても、ここから先のパク・ハは、イ・ガクへの想いを持ち続けながらも、ヨン・テヨンと前向きに交際していくほかはないのではないか。またイ・ガクも、パク・ハがヨン・テヨンと結ばれることを願っているのではないか。


次回に続く。