じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 12月13日の16時23分頃に撮影した夕日を反射する理学部(写真右端)と耐震改装工事中の図書館(写真左端)。ちなみに、一年中で最も日の入りが早いのは12月2日から12月8日頃であり、岡山の場合の日没時刻は16時53分となっている。冬至の日にあたる12月22日の日の入りは16時58分で、5分ほど遅い(夕方の明るい時間が延びる)日没となる。



2013年12月13日(金)

【思ったこと】
131213(金)私の心が聞こえる?(4)聴覚障がい者のコミュニケーションツール

 マンデラ元大統領の追悼式で手話通訳を務めた男性が、オバマ米大統領ら各国首脳の脇で手話として全く意味を成さないでたらめの通訳を続けていたことが話題になっている。この通訳は、南アフリカ政府が通訳派遣会社を通じて雇用したが、その後の調べによれば、その会社は架空であり、また、当該男性は英国の「テクチュラース大学」で手話を学び資格認定を受けたと主張したが、この大学も実在せず、経歴詐称の疑いが出ているという。

 ネット上でも動画が公開されているが、手話のことを全く知らない素人の私から見ても、この男の動作はあまりにも単純でメッセージに対応した動きになっていないことが分かる。こういう正体不明の人物を各国首脳のすぐ横に立たせたというセキュリティ上の問題もさることながら、世界中が注目する追悼式で、なぜこんなデタラメ手話がまかり通ったのか大いに考える必要がありそうだ。

 あくまで私の推測だが、おそらく南アフリカでは、聴覚障がい者のための手話教育や手話通訳士養成は殆ど行われていないのではないだろうか。しかし、手話通訳があったほうが、この国は聴覚障がい者にちゃんと配慮しているというアピールになる。そこで、どうせ誰も分からないだろうという安易な発想から、身元をちゃんと調べずに、通訳できると自称している男を雇ってしまったのではないかと思われた。聴覚障がい者に対する甚だしい侮辱と言わざるを得ない。

 ところで、いま私がハマっている私の心が聞こえる?では、主人公のチャ・ドンジュは、
ウギョングループ創業者であるテ会長唯一の孫。少年時代に継父ジンチョルが祖父のテ会長を死に追いやった現場を目撃し、その衝撃で転落事故に遭い、聴覚を失う。母ヒョンスクの意により読唇術をマスターし、周囲の人には障害を隠し、健常者として振るまっている。
という設定となっていて、耳が全く聞こえない。しかし、12月13日放送の第27話までのところではドンジュは手話は殆ど知らず、もっぱら、喋っている人の口元や表情をしっかり見て、唇の動きから発話を読み取るという読唇術だけで受け答えをしている。あくまでドラマなのでこういうことができるのだろうが、あまりにも正確に読み取れるので相手の人はドンジュが聴覚障がいであることに気づかない。但し、後ろから声をかけたり、真っ暗なところでは当然、声を聞くことはできない。

 このほか、ドンジュは携帯電話(スマホ?)を使う時には、動画による会話(主に、ヒロインのポン・ウリとの会話)のほか、音声認識→文字変換を利用しているようだ。音声認識と言えば2013年版から一太郎に搭載可能な音声認識ソフト「ドラゴンスピーチ11J」(別売)というのがあるが、私自身はまだ使ったことがない。この方式の場合は、話し相手が誰なのかを声で識別することができず、この特徴もまたドラマの中のなりすまし場面で利用されている。しかし、現実にはあそこまで正確に、音声をテキスト化することはできないのではないかと思う。

 聴覚障がいの方がこのドラマをどう受け止めているのかは分からないが、私自身はよく描かれたドラマだと思っている(といっても残すところあと3回)。

 ちなみに私自身も、長生きすれば必ず聞こえが悪くなってくる。目も見えにくくなり、場合によっては失明するかもしれない。歳をとれば人間誰でもそのような境遇に置かれる可能性があることを忘れてはなるまい。


次回に続く