じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大南北通りの本部棟←→一般教育棟の交差点には押しボタン式信号がある。早朝の散歩時は南北通りに一台も車が通っていないこともある。それでも交通ルール遵守の立場から、ボタンを押して横断歩道の信号が青になってから渡るようにしているのだが、11月16日早朝は、この時間帯にしては珍しく何台もの車が通行していた。写真は、私の押しボタンで停車してしまった意外な車。



2013年11月15日(金)

【思ったこと】
131115(金)第6回日本園芸療法学会広島大会(16)浅野理事長の教育講演(10)園芸療法の効果の評価(3)全人的ケアと、べったり寄り添わない療法

 昨日の日記で、園芸療法では、園芸活動独自の効果だけを断片的に論じるのではなく、
  • 園芸活動がクライアントの日常生活に組み込まれることで
  • その人の生活全体がどう変化し
  • 健康状態や精神状態にどのようなポジティブな効果をもたらしたのか
を全人的に評価する必要があり、
  1. 週に数回の園芸プログラムを導入したところ、
  2. 利用者さんの日々の生活が規則的、前向き、積極的になり
  3. 育てている植物についての発言が増え
  4. 他の利用者さんとの会話の機会も増え
  5. 屋外に出る回数も増え
  6. それら全体の包括的な効果として、種々の健康指標に改善が見られた
というように2.から5.についてもしっかりと記録をとっておく必要があると述べた。

 しかし、研究活動として行うならともかく、現実の高齢者ケアでこれらを実践していくことは不可能に近い。なぜなら、もし上記1.から6.のプロセスを完璧に実行しようとすれば、利用者さんにつきっきりで記録をとらなければならないからである。これは、まずもって、利用者さんのプライバシー侵害にもなるし、50人の利用者さんに50人のスタッフを配置させなければならないという点で人的資源上不可能でもある。極端に言えば、高齢化がさらに進むと、国民の50%は要介護高齢者、残りの50%はそれらの人々の介護に従事することになって、誰一人介護以外の仕事に携わることができなくなってしまう。

 となると、研究目的の調査は別として、やはり、少数のスタッフが過剰な負担にならないという原則のもとで、可能な限りのNBMを実施していく必要がある。

 こうした議論は、昨年の大会でも指摘されており、
参考になった点としては、まず、植物と患者とHT(園芸療法士)の三者をめぐる螺旋モデルである。園芸療法は最終的には、患者自身がHTから離れた環境で植物と関われるようになることを目ざす。それゆえ、いつまでも患者にべったり寄り添うような援助であってはダメで、しだいに患者から離れつつ、植物との関わりが発展していくような「開放」の段階を含んだ螺旋状のモデルが提唱されている。また患者の自立度を測る方法も課題であるというようなお話であった。このあたりは、リハビリテーションの一環としての園芸療法と、病気の回復が見込めなかったり、介護を必要とする高齢者を対象とした園芸療法ではかなり変わってくるとは思うが、アメリカ型の福祉の発想を前提とすれば、やはり、自立に近づけることが第一となるのであろう。
というように考えを述べたことがあった。


 次回に続く。