じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2013年度版岡山大学構内の紅葉(1)
 連休は四国に紅葉見物に行ってきたところであるが【こちらにアルバム連載中】、岡大構内でも各所で紅葉が見頃を迎えつつある。
  • 写真上:時計台前のアメリカフウ。今年は、時計台は耐震改修工事中。バスは大学祭のための臨時バス。
  • 写真中:農学部正面のカイノキ。
  • 写真下:文学部中庭から眺めるアメリカフウ(右端)と半田山。




2013年11月4日(月)

【思ったこと】
131104(月)第6回日本園芸療法学会広島大会(7)レッドゾーンとグリーニング(6)緑によるヘルスプロモーション/現地現物主義の研究

 旅行のため間が空いてしまったが、11月03日に続いて、涌井先生の、

レッドゾーンとグリーニング 東日本大震災 奇跡の一本松の事例から

という基調講演のメモ・感想の連載の最終回。

 講演の最後のところでは、「緑によるヘルスプロモーション」という話題が取り上げられた。ヘルスプロモーションについては、日本ダイバージョナルセラピー協会の副理事長でもある島内先生のお話を何度か拝聴したことがあり、また11月16日には第7回 ヘルスプロモーション国際シンポジウム in さくらが開催されるとのことである。もっとも私自身は、スポーツは全般に苦手であり面倒で時間のムダにしか思えず、仮に健康増進に必要であると言われたとしても、嫌々スポーツ活動を始めたいとは全く思わない。その点、園芸活動や自然散策を楽しみ、結果としてそれがヘルスプロモーションにつながるというなら大歓迎である。

 では、みどりによるヘルスプロモーションとは何か?スライド資料には、
  • 豊かさを追い求める時代から、深める時代へ!
  • 文明的人間像から生物的人間像への転換を みどりを繋ぎ手として実現する
というスローガンが掲げられていた。ウィキペディアによれば、インフラはふつう、
社会生活を支えるために整備された公共的な仕組み、基盤をさす。公共の福祉のための施設、仕組みであり、民間事業として成立しにくいため、中央政府や公共機関が確保建設、管理を行う経済成長のための基盤。
とされているが、涌井先生は、「グリーンインフラ」の必要性を説いておられた。念のためネットで「グリーンインフラ」を検索したところ、

グレーインフラからグリーンインフラ(日本生態系協会主催)

という国際フォーラムが2013年11月11日に開催されるとの情報があり、涌井先生が総括をされる予定となっていた。リンク先の案内には、
東日本大震災から得られた教訓を踏まえ、日本政府は、防災・減災に資する国土強靱化の推進に向けて動き始めています。温暖化が進むなか、世界的にも、防災・減災は重要なテーマとなっていますが、その際、欧米では、自然生態系がもつ多面的機能に着目し、「グリーンインフラ」として戦略的に保全・再生し活かすという考え方を浸透させようとしています。また、自然を「自然資本」という概念でとらえ、国の重要な財産として維持・強化するための取り組みも始めています。そこで、日本における自然の機能を活かしたインフラ整備の展開について提案し、持続可能な経済・社会のあり方について考える機会とするために、本フォーラムを開催します。
と案内されており、今回の基調講演で提案された内容と同じ趣旨のように思われる。

 講演の最後は、エコロジーとエコノミーの融合という話で締めくくられた。ちなみに、これらの語源は、
  • エコ:オイコス(共同体)
  • エコロジー:オイコス+ロゴス(真理)
  • エコノミー:オイコス+ノモス(秩序)
に由来するとのことである。現代社会(先進国?)は、3つの「奪う」で成り立っている。3つとは、「自然から」、「発展途上国から」、そして「未来から」であり、とりわけ、将来を見据えた「自然と共生する社会の実現」(循環型社会+共生型社会)を創る必要があるというようなお話であった。

 講演のあとのフロアからのディスカッションの中では、いまの子どもたちや若者たちが必ずしも自然を志向していないというような話が出され、それに対しては、実物に触れる、五感で受け止める場を設けることが必要というようなお答えがあった【長谷川の記憶のため不確か】。

 今回の講演の中でも言及されていたが、研究者としての涌井先生の姿勢は徹頭徹尾、現地現物主義であった。念のため、「現地 現物主義 涌井史郎」で検索したところ、こちらの記事の中で、
やっぱり,現地現物主義,これが非常に重要です.先ほど来,お話があったようにですね,研究者とか学者というのは,論文を書くことに勢力をあげて,本当にそれを社会化するというところにはなかなか力が動いていかない.
と語っておられることが分かった。実際に現実を変え、人を動かし、着実に成果を積み重ねておられるという姿勢は大いに見習うべきところがあると感じた。


 次回に続く。