じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大学構内の金木犀の花が見頃となっている。写真の大木は津島北キャンパスの西端にあるが、殆ど注目されていない。右端の建物は文法経1号館。


2013年10月06日(日)

【思ったこと】
131006(日)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(28)選択と比較(2)顧客満足とは客の期待を上回ること、という議論

 昨日の続き。

 シュワルツの本の第九章では、比較をすることが選択の評価にどのような効果をもたらすのか、さまざまなタイプが語られていた。それらはおおむね、それまでの章で紹介された事例の復習であり、具体的には、プロスペクト理論、フレーミング、期待などであった。

 ここで少し脱線するが、少し前のモーサテ「リーダーの栞」で、ジャパネットたかたの高田明社長が、新将命の『経営の教科書 社長が押さえておくべき30の基礎科目』(ダイヤモンド社)を挙げ、この本で学んだのは「顧客満足は顧客の期待を上回る」ことでショッピングと経営がつながっていると話し手おられた。【こちらに動画あり】
動画をもとにその一部を再掲させていただくと、
  1. 私たちは客に商品を買ってもらい商売が成り立つ
  2. 買ってもらった商品が金額以上の価値以上のものでないと駄目
  3. 本によれば「真の顧客満足とは、客の期待に応えることではなく、客の期待を上回ること」。そのためには顧客期待、顧客満足度、顧客不満足度をしっかり把握することが必要。
  4. ショッピングは伝わった瞬間に商品を買って頂ける

 ここでふたたびシュワルツの本に戻ると、同じ商品を買った場合、期待の小さかった人は、それより結果が大きかったことに満足する。いっぽう、期待が大きすぎた人は、満足できないということになる。シュワルツ自身のエピソードで言えば、オレゴン州の小さなグローサリーでワインを選ぶ時、選択肢は10種類程度で少なく、そのワインの味にはあまり期待していなかった。しかしその味は、極上ではないにせよ満足できるものであった。しかし、もし、数百、数千の銘柄を備えた店で同じワインを選んでいたとしたら、ガッカリしたに違いない。多数の選択肢から選ぶ時のほうが期待が大きいから、というのがその理由であった。

 これでいうと、テレビショッピングや通販のリピーターを増やすためには、あまり誇大には宣伝せず、実際に届いた商品が期待によかったということが次の購入を促進することになるようにも思える。しかし、購買者があまり期待しないような宣伝では、誰も注文しない。このあたりのジレンマをどう解決するのかが各社の腕の見せ所かと思う。

 ちなみに、私は、テレビショッピングのCMが大嫌いだ。あのわざとらしい褒め言葉、体験者のヤラセ丸出しの感想などは、視れば視るほどムカムカしてくる。加えて、「本日17時までに申し込めば割引」とか「本日はこれに○○をおつけします」などというCMを毎日のように流されると、何が本日限りかと、ますます腹が立ってくる。それでもCMが続いているということは、私とは全然違って、腹を立てずに楽しみながらショッピングしている方が少なからずおられるということなのかもしれない。

 但し、どっちにしても、誇大広告や期間限定に踊らされて高額商品を買った人は、期待外れの結果で「もう二度と買うまい」と不満足状態に陥るはず。これでは、リピーターにはならないと思うのだがどうなのだろうか。

 あと、朝のモーサテの時間には「ついに買いました金!時代は実物資産 金へ」というCMがもう1年以上前から流れている。同じ登場人物が、長期間にわたって「ついに○○しました」と言っても全くインパクトが無いことに加えて、こちらのチャートを見れば分かるように、金価格は2002年から2011年頃までは右肩上がりで上昇したものの、その後は低迷、最近では1300ドル/トロイオンスあたりまで値下がりしている。これから先のことは分からないが、少なくともこの2年余りのあいだに「ついに買いました金」につられて取引を始めた人は、殆ど損をしているのではないかと思われる。これも「客の期待を上回ること」とは正反対の結果になっているように思われる。【←私は全く取引していない。というか、そういうカネもない。このCMが出るたびに、テレビに向かって「何がついにだ、去年も同じ事を言っていたじゃないか、このウソツキめ、引っ込め引っ込め」と怒鳴っている。】

次回に続く。