じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 7月20日(土)の朝焼け。岡山では、最低気温が23.0℃となり、ひところの猛暑日&熱帯夜に比べると過ごしやすい朝となった。日の出前、南の空にオーロラ風の朝焼けが出現。


2013年07月19日(金)

【思ったこと】
130719(金)選択のパラドックスと選択の技法(1)シュワルツとアイエンガーの違い

 今年の大学院の講義は、

Barry Schwartz (2004). The Paradox of Choice: Why More Is Less.(ペーパーバック版はこちらから注文可能)。

を中心に、関連論文や、Sheena Iyengarの著作、論文、TEDのプレゼン
などを教材とした。19日をもってめでたく授業が終了したので、これを機会に、「選択」をめぐる問題について、不定期で私の考えをまとめてこうと思う。ちなみに、、NHKで2011年〜12年に放送された、アイエンガー先生の「コロンビア白熱教室」と「コロンビア白熱教室@慶応ビジネススクール」が、2013年7月26日〜8月27日にアンコール放送されるとのことである。まだご覧になっていない方にはオススメである。

 ところで、上掲のシュワルツ先生とアイエンガー先生であるが、私が把握している主な違いは以下の通りである。
  • シュワルツは1946年のお生まれで、New York Universityを1968年に卒業、1971年にUniversity of Pennsylvaniaで博士号取得。こちらの業績一覧にもあるように、私自身は大学院生時代から、学習心理学の教科書や、行動変動性の条件づけについての否定的論文などを拝読しており、個人的には学習心理学者というイメージが強かった。TEDのプレゼンを初めて拝見したときには、同一人物かどうかと疑ってしまったほどである。いっぽう、アイエンガーのほうは1969年のお生まれで、University of Pennsylvaniaを1992年に卒業、1997年にStanford Universityで博士号取得と記されている。お二人にはUniversity of Pennsylvaniaという共通点があるが、世代的には20年以上の開きがある。ちなみにシュワルツ先生はアイエンガーの論文をいくつか引用しているが、私の知る限りでは、アイエンガーがシュワルツの本や論文に言及した形跡はない。というか、シュワルツの本は一般向けに書かれたものであり、シュワルツ自身のこれまでの研究論文は、選択行動そのものではなく、どちらかと言えば「満足者(satisficer) vs 追求者(maximizer)」に関するものが中心。
  • 上述のようにシュワルツは1946年のお生まれで人生経験豊富ということもあって、著作やスピーチの中では、御自身の体験を語ることが多い。
  • アイエンガーはこちらの略歴にもあるように、両親はインドからの移民のシーク教徒であり、その後もさまざまな異文化体験がある。また、全盲であることによる視覚的選択の困難についても独自の考えを述べている。
  • シュワルツの本では、「満足者(satisficer) vs 追求者(maximizer)」の違いが強調されているが、アイエンガーはそのような区別をせずに、選択の技法を説いている。
  • シュワルツは、もっぱら先進国の、一定以上の所得水準にある人を対象に選択の技法を説いている。アイエンガーは、御自身の体験もあり文化差に言及することがある。アイエンガーの技法は、若者や低所得者にも通用する内容となっている。
  • シュワルツの上掲の本だけを読むと、自己満足的で個人主義的なライフスタイルを推奨しているような印象を受けてしまうが、御自身は、PRACTICAL WISDOM AND POSITIVE PSYCHOLOGYの視点からも主張を展開しており、TEDでもいくつかの関連スピーチをされている。


次回に続く。