じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 夕食後の散歩時、大学構内(本部棟前、農学部前、一般教育棟構内など)に多数の自動車が駐められていた。体育館や学生会館、サークル棟などはほぼ真っ暗で人通りが少なく変だなあと思ったが、どうやら、近隣で行われているファジアーノ岡山の応援者の車であるようだ。公式サイトの駐車場とシャトルバスのご案内には、
いつもファジアーノ岡山を応援していただき、誠にありがとうございます。 現在、カンスタでのホームゲーム開催日において、岡山操車場跡地とカンスタ間を無料シャトルバスが運行しております。カンスタのある岡山県総合運動公園内の駐車台数はわずかです。ご来場の際はシャトルバスをご利用いただきますよう宜しくお願い致します。※近隣商業施設などへの無断駐車は絶対におやめ下さい。
と記されているが、操車場跡地はかなり離れている。また、運動公園近くの津島モールには大規模無料駐車場があるが、ファジアーノの試合日に大混雑して買い物客が迷惑になるため、無断駐車を厳しく規制していると聞いている。
 岡大構内はカンスタまで徒歩10分圏内であり、この時間帯は大学関係者の駐車も少ないので、空きスペースの有効利用にもなるし、大学のほうも1台につき500円の駐車料金が徴収できるので損にはならないと思う。但し、大学という教育・研究機関の性格上、総合運動公園内の行事に参加するために大量の駐車が見込まれる場合には、確か、大学に事前に許可を申請することになっていたと思う。今回、そういう協定があったかどうかは未確認。

 なお、岡大敷地内喫煙ゼロをめざす立場上、これらの大量駐車のあとの吸い殻ポイ捨てが気になるところであったが、翌朝、本部棟前を通行した限りでは、吸い殻は1本も捨てられておらず、ファジアーノのファンのマナーの良さに感心させられた(←あるいは、サッカーの応援に出かけるような人たちは、そもそもタバコを吸わないのかもしれないが)。


2013年07月7日(日)

【思ったこと】
130707(日)岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動その後(10)まとめ「違反喫煙・ポイ捨て対策6ヶ条」

 この連載のとりあえずの最終回。これまでに述べたことを、「違反喫煙・ポイ捨て対策6ヶ条」としてまとめておく。なおこの6ヶ条は、いずれ増補改訂して10ヶ条程度にまとめ直す予定である。
  • その1:禁煙ポスター掲示だけでは役に立たない。
    もちろん、そのようなポスターは必要ではあるが、そもそも違反喫煙者はそのようなポスターを無視して喫煙を続けているのであるからして、ポスターの枚数を2倍、3倍に増やしたからといって喫煙を止めさせることはできない。

  • その2:違反喫煙行為を見つけ、直ちに喫煙を中止させ、禁煙の説得を行い、吸い殻を持ち帰らせることが肝要
    行動分析学における強化・弱化の基本は、行動の直後に結果を与えることである。個々の問題行動に対して、その直後に嫌子となるような、説得活動を行うことが大切。

  • その3:喫煙をやめさせようとする時は、本気で怒りを表明する必要がある
    その場で喫煙することが本当に悪いことなのだ、という怒りをあらわにして、真剣かつ命がけで説得しなければ相手を変えることはできない。単に「ここは禁煙の決まりになっているからやめてちょうだいね」程度のゆるゆるの説得では、当該者は、見つかったら止めればいいという軽い気持ちで、再び喫煙を繰り返すであろう。要するに、禁煙の説得は、喫煙行動への嫌子提示として作用しなければならない。単に、「ここは禁煙ですよ」というのは弁別刺激の提示であって、弱化機能を持たない。

  • その4:黙認や見逃しは禁物
    人的コストの問題もあるので24時間監視というわけにはいかないが、巡視をする場合は、1つたりとも例外、特例を認めないことが肝要。そうしないと、「この場所には禁煙のポスターは貼ってあるが、これは建前だけで、実際に吸っても何も言われない」というような抜け道を作ることになってしまう。

  • その5:監視により行動の出現を抑止するよりも、問題行動(喫煙・ポイ捨て)を見つけて直後に説得指導を行うことのほうが有効
     毎日、一定時間に監視を行えば、少なくとも目の届く範囲で喫煙が行われることはない。しかしそれは、監視員がそこにいるという弁別刺激のもとで行動を控えているだけで、監視員がいなくなればたちまち喫煙は再開されるであろう。いっぽう、違反喫煙に対してこっぴどく指導を受けた者は、その行動が弱化されるため、少なくとも同じ場所で再び喫煙をしようという気持ちにはならないはずだ。

  • その6:禁煙説得活動にできるだけ多くの人たちが加わることが求められる
     この活動は4月以来、ほとんど私一人で行ってきたが、最近では、事務職員の方々複数も、講義棟周辺での注意活動をしてくださるようになった。理想を言えば、学部生・大学院生もそれに加わっていただき、自転車置き場周辺などで喫煙学生がいた場合には遠慮無く注意をするという雰囲気を作ることが必要である。現状では、学生から「喫煙者は見かけるが、注意すると怖いので通り過ぎるだけ」という声も寄せられている。学生・院生のあいだで「敷地内喫煙は本当に悪いことだ。ゼッタイに許せない」という多数派世論を形成するためには、日頃から喫煙がもたらす健康被害、副流煙の被害、吸い殻ポイ捨ての現状などを頻繁に伝え、啓蒙活動を行う必要がある。


 迷惑喫煙やポイ捨てがなかなか無くならない一因は、日本社会における歴史的・文化的背景があるように思う。明治あるいはそれ以前から、喫煙は当たり前の行為として許容され、じっさい、数十年前の映画(例えば、「男はつらいよ」)、ホームドラマ、アニメ、刑事物ドラマなどでは、人前での喫煙シーンが当たり前のように使われていた。その後の健康増進運動の高まりの中で、まずは分煙が確立し、その後、航空機、電車、公共施設内などでの全面禁煙が定着し、さらにいま、教育機関などでの敷地内禁煙が実現しようとしている。その道のりは容易ではないが、着実に成果を上げていることも確かである。

 かつては、比較的地位の高い人が喫煙をしていると、それを咎めにくいという雰囲気があった。また「和を尊ぶ日本人」の精神から、喫煙者がいても事を荒立てずに我慢してしまうという風潮があった。しかし、いずれ、喫煙者が少数派に凋落することにより、公衆の面前で喫煙をすること自体が「和を乱す」行為として冷たい視線に晒されるようになるはずである。そのような社会はそれほど遠くないうちに実現するものと確信している。