じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 梅雨前線が南下し、梅雨の中休み状態が続いているが、よく晴れる分、日中は相当に暑くなる。6月4日の岡山の最高気温は31.4℃まで上がった。もっとも、朝晩は20℃以下となるため、快適である。

 写真は、農学部農場のヒマワリ畑。潅水のもとで晴れの日が続いているため、成長も早い。



2013年06月4日(火)

【思ったこと】
130604(火)ベンジャミン・バトン 数奇な人生

 長時間(165分)の映画を視たのは久しぶりであった。80歳の外形のしわくちゃの姿で生まれ、年を経るごとに若返り最後は外形は赤ちゃんだが認知症の状態で亡くなる、というタイトル通りの「数奇な人生」であった。若返りの過程で、いろいろな出会いがあり、中でも、デイジーという女性とは、最初は「老人と少女」そして「中年と若い女性」、そのうち、同じ年格好となって親密となりデイジーは出産、最後は、赤ちゃんの外形のベンジャミンが年老いたデージーに抱かれたままで亡くなる、という、まことに数奇な人生であった。

 映画の感想サイトでは、「老人が若返ったというストーリーが数奇なだけであって、個々のエピソード自体は平凡。」、「印象に残るような感動場面はなかった。」といった辛口の批評も少なくないように見受けられたが、私自身は、いろいろ考えさせられる佳作であったと思う。一緒に視ていた妻も「いい映画だったね」と言っていた。

 老いることを嘆き、少しでも若返りたいと願う人は少なくないと思うが、これは、みんなが老いるという前提の中での話である。この物語のように、自分一人だけが若返っていったのでは、何の意味も無い。であるからして、無理に若返ろうなどとせずに、老いを肯定的に受け止めて、無理をせずに、無為自然に生きることこそが「これでいいのだ」になる(←100分で名著「老子」の受け売り)、ということを、この映画は教えてくれているようにも思う。

 若干不満に思ったのは、デイジーがキャロライン出産したあと、ベンジャミンが父親の役目を果たさずに、遠くに去ってしまったことである。もちろん、そうすれば、ベンジャミンはどんどん若返って、キャロラインの弟みたいになってしまうだろうが、そういう状態でこそ、いろいろ考えさせられるようなエピソードが描かれたはずである。もっとも、そうなってしまうと、ブラッド・ピットの出番は無くなる。ま、時間が限られている映画の中では、ああいうカタチもやむなしということか。

 ちなみに、最近の映画は殆ど観ていないので、俳優のお名前は殆ど存じ上げていない。そんななか、唯一見覚えがあったのは、「ナルニア国の物語」で白い魔女を演じたティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)であった。そういえば、エリザベス・アボットは、68歳になってから英仏海峡を史上最年長で横断していたのね。短いシーンで、テレビ画面だけの登場だったので、最初は気づかなかった。

 あと、この映画は「生と死」を描いたとも言われているが、私も、以下の台詞が気に入った。自分もこういう言葉を残して死にたいものである。

だが 命の終わりは 潔く受け入れよう