じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 5月24日早朝はよく晴れ、早朝の散歩時に通った陸上競技場グラウンドには、日の出の直後から強い日射しが照りつけていた。写真は自分の影で作る「巨大足長おじさん」。目測だが、身長10メートルはありそう。




2013年05月23日(木)

【思ったこと】
130523(木)「異性に興味がない」と「うつ」傾向?

 水曜日午後に、メンタルヘルスと発達障がいに関する教員研修があった。席上で、教員の皆さんにもチェックしてくださいと言われて配布されたのが、やってみよう、こころのセルフチェックという質問紙であり、合計点が40点台であると「軽い抑うつ傾向があります」、50点以上の場合は「うつ状態です」と判定され、40点以上になった人は、早めに保健管理センターに相談に行きましょうと書かれてあった。実際にやってみたところ、私の合計点は31点であり、抑うつ傾向は無しと判定された。

 それはそれとして、リンク先の質問項目には、還暦を過ぎた私には若干馴染めない項目もあった。なお、一部の質問は、反転項目(Aと回答した時とDと回答した時の点数が逆)となっているので注意されたい。

6 異性に興味がある
7 やせてきたことに気がつく
14 将来に希望がある
17 役に立つ、働ける人間だと思う
19 自分が死んだ方が他のものは楽にくらせると思う


 このうち6は、「異性に興味がないか、たまにある」と回答すると4点と採点され、うつ傾向ありの合計点を増やす要因になるようだが、うーむ、還暦すぎて、今さら異性に興味は出てこないなあ。そう言えば、少し前に某回転寿司屋に行ったところ、店員さんの中に、目がぱっちりして、眉毛が太めで、丸顔で笑顔が可愛らしい女性が居られた。しかし、その時にまず思ったのは、「もし、私が寝たきりの要介護となった時には、ああいうお姉さんに世話をしてもらえたら、安心して暮らせるのではないかなあ」ということであった。これも「異性に興味がある」という部類に入るのだろうか。

 次の7は、「やせてくることに気がつく」と4点になるようである。確かに、拒食症などの症状のチェックにはなるが、私の場合、うつ傾向とは無関係に、肥満、体脂肪、悪玉コレステロール値の増加が気になってしょうがない。もし、やせてきたことに気づけるならまことにありがたいことだ。

 14の「将来に希望があるかどうか」と聞かれても、還暦すぎた私は、余命せいぜい20年。天国とか魂などはいっさい信じないので、死んだら終わりであって、その先に希望などあろうはずがない。ま、ここ10年くらいであれば、行ってみたい海外旅行先などはいくつかあるし、家族の成長・充実も喜びではあるけれど。

 17の「役に立つ、働ける人間だと思う」は、「老荘」型を実践する私としては、離脱のためのソフトランディングを実行中であって、年々、「役に立たない、働けない人間」になりつつある。といってもそれは、抑うつの結果ではなく、そういう方向を意図的に目ざしているためと言える。

 もう1つ、18の「自分が死んだ方が他のものは楽にくらせると思う」については、「自分が死んだら世界は終わり。他のものが楽に暮らそうが、苦労しようが知ったことでは無い」という利己的考えも無いわけではないが、より客観的に考えれば、定年退職後、年金や資産運用で暮らすという生活に入ることは、私が楽をする分、若者をそれだけ働かせることになる。自分が死んだ方が、その分、若者たちは楽に暮らせるようになるとは思う。といって、若者に楽をさせるために早死にしたいとは思わんなあ。

 なお、心理尺度の質問項目というのは、その意味内容ではなく、内的整合性、信頼性、妥当性などに基いて採用あるいは除外されていくものであるから、各質問の内容に対するツッコミは、実はあまり意味をなさない。例えば、「自分には、うつ傾向がある」という質問にYESと答えた場合、意味内容から言えば、その人は「うつ傾向がある」と判定される。しかし、心理尺度の原理から言えば、その逆の評価もありうるのである。仮に、「うつ傾向がある」という質問にYESと答えた人の5%、NOと答えた人の90%が、別の診断で「うつ傾向あり」と判定されたとすると、質問検査では、NOと答えるほうが得点が高くなるように設定される。要するに、「自分は、うつ傾向が無い」と答えるほうが「うつ傾向が高い」ということもアリだという意味である。いずれにせよ、個々の質問では意味内容に矛盾や問題点があっても、条件つき確率として、
  • 合計点が一定以上に高い人は、別の検査で「うつ」と診断される確率が高い
  • 合計点が基準より低い人は、別の検査で「うつ」と診断される確率が低い
ということを有意に示せる力があれば、スクリーニング検査としては十分に有用ということになる。(但し、一般論として、ベイズの定理が示すように、ある病気の検査で陽性になったからといって、当該の病気に罹っている確率は、素朴に考えるほどには大きくない。)

 余談だが、リンク先のセルフチェックは、どうやら、Zungによるうつ状態自己評価尺度を改訂したものらしい。但し、原版では、「6 異性に興味がある」ではなくて「6 まだ性欲がある (独身の場合)異性に対する関心がある」となっていた。