じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 文学部中庭・半田山の新緑を昨年同時期と比較してみた。半田山の新緑の様子は殆ど変わらない一方、環境整備工事として、カイヅカイブキ伐採藤棚撤去ブロック貼りが行われ、中庭の風景は一変している。


2013年05月2日(木)

【思ったこと】
130502(木)中高生、睡眠時間減ると心の不安強い?

 5月2日朝のNHKニュース(こちらにオンライン記事あり)によれば、「中学生と高校生の睡眠時間は学年が上がるにつれて短くなり、それに伴って心の不安も強くなっている」という調査結果を東京大学大学院の研究チームがまとめた、という。

 都内にある中高一貫校の生徒、およそ800人を対象に行なった調査によれば、平均の睡眠時間は
  • 中学1年生が7時間34分
  • 高校1年では6時間46分
  • 高校3年生では6時間7分
と学年が上がるにつれて短くなっており、その主要な原因は、自宅学習とスマホや携帯使用により、就寝時刻が遅くなること(夜更かしすること)にある。

 いっぽう、「ストレスを感じるか」や「自分のやっていることにやりがいを感じるか」など12の質問項目で心の状態を調べ、心の不安を12点満点で点数化したところ、平均で中学1年生が2点、高校1年生では2.91点、高校3年生では4.03点と学年が上がるにつれて心の不安が高まっていた。「こうした結果を統計的な手法で分析したところ、睡眠時間が少なくなることが心の状態を悪化させていることが分かった(「睡眠時間の減り幅が大きいほど心の状態も悪くなるなど、夜更かしが心にも悪影響を与えていることが分かってきた。」というのが、ニュースの概要であった。

 このニュースを聞いた時にまず思ったのは、「都内にある中高一貫校の生徒、およそ800人」だけの結果から、日本の中高生全体のことがどこまで言えるのかという点。進学校なのか、スポーツ系なのかによって、夜の過ごし方もかなり変わってくるはずである。

 第二に、睡眠にも深い、浅いがあり、なかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めることもある。単純に、自己申告による睡眠時間だけで睡眠の影響が分析できるのかどうか若干疑問である。

 第三に、「ストレスを感じるか」や「自分のやっていることにやりがいを感じるか」など12の自己評定で、本当の心の状態が測れるのかという疑問があるが、これはおそらく、何らかの不安尺度を使用しているものと推測される。心理尺度の場合は、質問の意味内容(例えば、「ストレスを感じる」と答える人がストレスが多いのか、という議論)を丸呑みするのではなくて、尺度の妥当性(例えば、ストレスに関する医学的、生理的な指標との相関)をチェックした上で質問項目を採用しているので、たぶん大丈夫だろうとは思う。とはいえ、中学1年生が感じるストレスと、高校3年生が感じるストレスでは質的に差違があるだろうし、また、年齢が上がるにつれて、質問紙検査に対して、ネガティブな自己評定(ストレスを大きく見積もる傾向)が高くなるという可能性も否定できない。

 第四に、睡眠が短くなることと、心の不安が高まることは、別の原因によって共変しているという可能性も考えられるが、これについては、「統計的な手法で分析したところ」と報道されていることからみて、そういう原因を取り除いた上で、「睡眠時間減少→心の不安上昇」という因果性が検証されたものと推測される。ま、素朴に考えれば、何らかの環境要因によって、心の不安が高まり、それを紛らわすために深夜までスマホや携帯に熱中するという可能性もありうるが、「統計的な手法で分析」されたということであるからして、「心の不安上昇→睡眠時間減少」ではなく、「睡眠時間減少→心の不安上昇」という因果性があることが確認されているものと思われる。

 報道内容だけからは不明であるが、睡眠時間が少なくなることは、授業中の居眠りや集中力低下を引き起こし、居眠りへの叱責によって、先生や親との関係も悪化する、...という悪循環が生まれる可能性もあるだろう。

 ちなみに、私自身は、最近は22時頃就寝、朝4時半に起床という日課でほぼ安定している。睡眠時間6時間半は、上掲の高校3年生よりは多少長め。もう少し遅くまで寝ていたほうがいいのだろうが、4時半すぎると、眠気が完全にとれてしまった、布団に入っていても退屈になるだけ。

 もっとも、夜なかなか寝付けないということは全くなく、夜中の2時頃にトイレに起きる習慣はあるものの、トイレを終えたらまたぐっすり寝てしまい、目がさえて眠れないといことも全くない。但し、毎日14時から14時半頃には、座ったまま居眠りをすることがあり、この時間帯の会議や授業は要注意。