じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 農学部農場の白梅。一番早咲きの梅に続き、見頃となっている。



2013年02月14日(木)

【思ったこと】
130214(木)NHK朝ドラ「純と愛」で出現した「純愛熱中症」と「アンチ純愛症候群」(11)一部の人たちが批判・攻撃的な書き込みを続ける理由(1)

 この連載を始めた2月4日の日記で、私の関心事は、
このドラマが、一部の人たちに、なぜこれほどまでに嫌われてしまったのか、また、通常は、「イヤなら視ない」だけで済むものを(←仮にNHKに文句があるとしてもNHKの意見箱に投書すればそれで済むものを)、なぜ、批判的クチコミを書き続けようとするのか?
という点にあった。このうち、「一部の人たちになぜこれほどまでに嫌われてしまったのか」 については、昨日の日記で、また、いったんイヤになった人がなぜ憎悪のスパイラルに陥りやすいのかについては2月12日の日記で、不十分ながら、すでに考えを述べた。今回からは「なぜ、批判的・攻撃的なクチコミを書き続けようとするのか?」について考えていきたいと思う。

 なお、くれぐれも念を押させていただくが、ここでいう「批判的・攻撃的なクチコミ」というのは、ストーリーの展開とは無関係に、脚本家、俳優、時には、このドラマを高評価する人たちに攻撃的発言を繰り返す行為、あるいは、非難攻撃目的で本筋と関係の無いアラ探しに終始するような行為のことをいう。ドラマ通の方などが、ちゃんとした根拠に基づいて批判や評価をする行為は全く別物であることをお断りしておく。

 さて、2月12日の日記にも述べたように、「このドラマは嫌いだ」という人がとる行動には、少なくとも下記の2つのタイプがある。
  1. このドラマは不快になるので(あるいは「腹がたつので」)他のチャンネルに切り替えた。【嫌子(ケンシ)出現阻止の随伴性による強化。回避行動】
  2. このドラマは不快になるので(あるいは「腹がたつので」)、放送を中止させるため何らかの抗議行動を行った。【嫌子消失による強化。但し、抗議行動をしても直ちに放送中止になるわけではないので、これはあくまでルール支配行動。】
 合理的根拠があろうと、独善的な憎悪であろうと、とにかく、それらの人々にとっては当該のドラマは「嫌子」となる。上記2つのタイプは、基本的には、嫌子を回避しようとするか、嫌子を消失させるために精力を注ぐかという違いにあると言ってよい。

 しかし、常識的に分かることだとは思うが、本当に、放送中止を達成させようとするなら、NHKの意見箱に投書するとか、放送番組審議会に働きかけるといった行動をとるべきであり、クチコミでドラマ自体や脚本家、さらにはNHKや高評価者に罵詈雑言を浴びせかけたところで、放送が中止になるわけはない。行動分析学の原理から言えば、成果の無い行動は消去されるはず。しかるに、もう何ヶ月も経つのに相変わらず執拗な書き込みが続けられている(例えば、こちらのサイト)ということは、何か別の強化のしくみが働いていると考えざるを得ない。あくまで仮説段階であるが、以下のような可能性があるのではないかと私は考える。(【 】内は行動分析学の分類)。
  1. 他者への批判・攻撃を続けることで、自分自身の抱えている問題に注意が向かなくなり、すくなくとも対症療法的なストレス解消になっている。内政が混乱している国の為政者が、外国を攻撃することで、国民の不満・関心をそらす効果を狙うのと同様。【嫌子消失による強化】
  2. クチコミサイトで、他の低評価者から支持されることにより(得票したり、賛同意見が述べられることにより)、付加的に強化される。【好子(コウシ)出現による強化。他者からの付加的強化。】
  3. 匿名の発言が認められていることによる一般的な効果。どんなに罵詈雑言を浴びせても、リアルな自分に直接被害が及ぶことはないという気軽さ、無責任さ。
  4. 投票や評価制度が設定されているクチコミサイトにありがちな一般的な効果
    • クチコミサイトで、低評価の投稿をすることは、ドラマの評価点の平均値を下げたり、低評価者の比率を上げるといった、自己効力感を伴う結果をもたらす。【好子出現による強化。適度の大きさと出現確率を伴う結果。】
    • クチコミサイトで、低評価の投稿を頻繁に行うことで、高評価者の発言をTop画面から過去ログに押しやり目に触れにくくすることができる。【嫌子消失による強化。適度の大きさと出現確率を伴う結果。】


 次回に続く。