じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 1月に入ってから大学構内(一般教育棟周辺、農学部東など)で環境整備工事が行われている。写真は一般教育棟西側の広場。自転車置き場の屋根や柱が撤去され塊になっていた。



2013年01月16日(水)

【思ったこと】
130116(水)質的研究・文化心理学の交差点:ヤーン・ヴァルシナー教授を迎えて(9)安田氏の話題提供

 またまた間が空いてしまったが、1月12日の日記の続き。

 2番目は、安田氏による、

●時間のなかで重層化する不妊当事者の自己語り:不定,変容の循環のなかで

という話題提供であった。このご研究の内容については、すでに別のシンポで拝聴したり関連論文を拝読したことがあったため、今回のシンポではどのような進展があったのか、何が新しく付け加わったのかという点に興味があったが、時間が短かったせいか、初めてこのお話を聞く人たちが多かったせいか、特段に目新しい点は無かったように感じた(失礼)。また、過去の辛い体験の意味を問い直し、編み直して新たな人生を切り開いていくという事例は、ノンフィクション小説でもドキュメンタリー番組でも十分に描けるのであり、TEMやTLMGを用いることで新たに何が発見できるのか、三層モデルや準拠枠の概念は果たして必要なのか、といった疑問が残った。

 このほか、指定討論やフロアからの発言の中で【←但し、安田氏以外の話題提供者にも向けられた発言】、
  • インタビューは相互行為であり、客観的中立的な文脈を捉えられるのか? 例えば、転機について問われれば当然、揺らぎやダイナミックスが語られるが、それが当事者にとっての尋ねられる前から重要な意味を持っていたかどうかは定かではない。
  • インタビューにおける、retrospectiveとprospectiveな見方の混交。過去が語られる過程ですでにprospectiveな視点が入っている。
というような指摘があったが【←長谷川の記憶のため上記の表現は不正確】、「この問題は私の課題になっています」というような、議論を回避するようなお答えにとどまってしまった印象を受けた。

次回に続く。